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(きん、こと)とは、日本の伝統楽器。日本で「こと」と呼ばれる楽器は(1)、(2)、(3)和琴 (わごん) がある。前二者は古くから混用、誤用があったが、「箏」の字が常用漢字に含まれなかったために、さらに混用が進んでいる。区別が必要な場合は、それぞれ(1)「琴(きん)のこと」、(2)「箏(そう)のこと」と呼ばれる。(2)「箏」では柱(じ)と呼ばれる可動式の支柱で弦の音程を調節するのに対し、(1)「琴」は弦を押さえる場所で音程を決めるという特徴を持つ(和琴は柱を使う)。指にはめた爪(ピック)または指(あるいは手の爪)で弦を弾いて音を出す。

種類[編集]

琴に分類される楽器には以下のものがある。

ただし、「箏」の字が常用漢字で無いことから「箏のこと」で用いる柱を琴柱(ことじ)と言ったり、箏曲を教える人が広告などに「琴曲教授」と書いていたり、「琴」と「箏」は一部に混乱もみられる。

「こと」の由来[編集]

古事記』などに「こと」を弾く場面がしばしば登場するように、本来「こと」は古くから日本に存在しており、呪術用の楽器として使用された様子がみられる。登呂遺跡など、各地の弥生時代の遺跡からすでに「こと」と思われる残片が見つかっており、また古墳時代埴輪にも「こと」や「こと」を弾く人物をかたどったものがある。つまり、「こと」は名称はともかく楽器としては弥生時代から存在していることになる。その「こと」は五本弦が多く、頭部から尾部に向かいやや広がるような形と、尾部に弦を留める突起があるものが多いことなどから、今日の和琴(わごん)の原型であると思われる。現在もっとも普通に「こと」と呼ばれる箏が中国から渡来したのは、奈良時代のことである。

和琴とは別に、奈良時代に渡来した「琴」(きんのこと)は中国宮廷内の祭祀にまつわる楽器として、弦楽器(古代日本では、人間が息を吹き込まねば演奏できない管楽器よりも高尚なものとされた。当時弦楽器はすべて「○○のこと」と呼び習わされる)の中でも重要視されていたらしい。平安時代の『宇津保物語』では琴の伝授が物語の主軸の一つであり、また『源氏物語』にも登場するが、醍醐天皇村上天皇の治世がモデルと推測される作中世界においても「琴のこと」の奏者は少数しか登場しないなど、早くに廃れていたことが解る。ちなみに源氏物語に登場する奏者は、主人公で臣籍降下した皇子光源氏やその弟の蛍兵部卿宮宇治八の宮、また源氏の妻の内親王女三宮とその子、常陸宮の娘末摘花明石の御方(母が中務宮の孫)など、多くが皇族または皇室に深いかかわりを持つ人物である。

琴という言葉[編集]

このように、元来、和語(大和言葉)の「こと」という言葉は、現在の和琴の元となった弥生時代以来の「こと」から発して、奈良時代以降大陸から多数の弦楽器が渡来したとき、それら弦楽器全般を総称する言葉ともなった。この「琴」という字を「こと」と訓じたために、言葉の使われ方に多少の混乱がある。

例えば、『源氏物語』などの古文では、「琴」は、この項で説明している琴(きん)のほかに、琵琶などすべての撥弦楽器を指している。このことは、明治時代に日本に新しい楽器が入ってきた際に、洋琴(ピアノ)、風琴(オルガン)、手風琴(アコーディオン)、自鳴琴(オルゴール)、提琴(ヴァイオリン)などと呼ばれていたことからも伺い知ることができる。

主要製造産地[編集]

使用例[編集]

関連項目[編集]

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