古野まほろ

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古野 まほろ(ふるの まほろ、11月25日 - )は、日本小説家推理作家血液型O型日本推理作家協会会員。代表作は天帝シリーズのほか『ぐるりよざ殺人事件』『その孤島の名は、虚』『ヒクイドリ 警察庁図書館』『臨床真実士(ヴェリティエ)ユイカの論理』など。

学生の批評に“マジ切れ” 東大卒作家ツイッター発言の代償(2017年12月)[編集]

<腐れ学生の癖になんだその口の利き方は、本人の前で言えクズ>

<このクズどもは許さん>

大学生相手にツイッター上でこんな罵詈雑言を浴びせたのは、小説家・古野まほろ氏。

東大卒などの経歴以外、詳細を明かさない覆面作家として活動する。ミステリーを中心に、精力的に作品を発表し続けている人気作家だ。

事の発端は12月7日北海道大学の推理小説研究会が、古野氏の作品『禁じられたジュリエット』についてツイッターで感想をこうつぶやいたことに始まる。

<ミステリ愛溢れる一冊、ですが最後の謎解きは不要、もしくは必要だが面白くないという人が多かったです。(中略)内容とは関係ないですが登場人物の名前が覚えられないのは何故か、という話題が盛り上がりました>

すると、古野氏が数分後、

<バカだからじゃない?>

とリプライ。その後も冒頭のような発言を連発し、“マジ切れ”した。炎上にさらに油を注いだのが次のつぶやきだ。

旧帝大で文系が57.5とか、千葉大?ちょっとありえない……これまで東大出を鼻で嗤う「異様に優秀な東北大出の役人」「同九大出」には結構出会っても、蝦夷地からは皆無だった理由がいま解りました>

このツイートに、ネット上は「学歴主義の差別だ」と大荒れ。騒動が大きく広がった11日、古野氏はこんなツイートを残し、アカウントを削除した。

<身辺に危難が想定され始めました。モノ言うのも命懸けですね。(中略)本信の周知期間を置いて、お休みします>

発言の代償は大きかったようだ。通販サイトAmazonの作品レビューには「東大卒以外には、難しくて読みこなせません」「帯に東大出身者のみ閲覧可と書いたらどうか」と、星一つがずらりと並ぶ事態に。

騒動について、北大の推理小説研究会側に聞いた。「当サークルと古野まほろ先生ご本人との問題です」「収まりかけていた火種が再発する危険性もある」として、取材に応じられないとの返答だった。

古野氏の真意を聞こうと著作がある出版社に問い合わせると、「覆面作家として活動しており、その件やプライベートな面はお答えできない」「彼の作品を読んで判断してほしい」との回答。作品をかつて称賛した書評家も「デリケートな問題なので触れづらい」。

作品に批評はつきもののはずだが、何が古野氏を闘争に駆り立てたのだろうか。

略歴[編集]

東京大学法学部卒業。リヨン第三大学法学部第三段階「Droit et Politique de la Sécurité」専攻修士課程修了。フランス内務省より免状「Diplôme de Commissaire」授与。学位授与機構より学士(文学)。

警察庁Ⅰ種警察官として交番警察署警察本部海外警察庁等で勤務の後、警察大学校主任教授にて退官。

宇山日出臣が発掘した最後の新人」と呼ばれている。綾辻行人有栖川有栖に師事。デビューからおよそ10年で長編作品が約20作品、短編集も含めると約25作品が刊行されている。

受賞歴など[編集]

作風[編集]

ミステリランキング[編集]

本格ミステリ・ベスト10[編集]

※括弧内は読者投票ランキング

  • 2008年 - 『天帝のはしたなき果実』16位(18位)、『天帝のつかわせる御矢』(14位)、『天帝の愛でたまう孤島』(17位)
  • 2010年 - 『天帝のみぎわなる鳳翔』22位、『探偵小説のためのノスタルジア「木剋土」』(17位)
  • 2011年 - 『探偵小説のためのゴシック「火剋金」』25位(6位)
  • 2012年 - 『命に三つの鐘が鳴る Wの悲劇 '75』11位(8位)、『天帝のあまかける墓姫』15位(3位)、『群衆リドル Yの悲劇 '93』(9位)、作家別ランキング3位
  • 2013年 - 『絶海ジェイル Kの悲劇 '94』(20位)
  • 2014年 - 『パダム・パダム Eの悲劇 '80』14位、作家別ランキング5位
  • 2015年 - ランキング外。なお、本格ミステリ・ベスト10は、この年から"読者による投票ランキング"と"作家別ランキング"が廃止された。

作品リスト[編集]

単行本[編集]

天帝シリーズ[編集]

表紙イラストは講談社ノベルスウスダヒロ幻冬舎usi

1990年代の日本帝国というパラレルワールドを舞台に、高校生の古野まほろが事件を解決に導いていく。

本シリーズは「五番目の奇書」に連なる黒い水脈を指向している事を公言している。

探偵小説シリーズ[編集]

全5巻で完結。表紙イラストはゴツボ×リュウジ

激しい妄想癖のある女子高生・水里あかねが謎に包まれた美少女・小諸るいかとともに事件を解決する。

天帝シリーズとはやや異なる趣として、本格かつ前衛的な実験も同時に試みられているシリーズ。

  • 探偵小説のためのエチュード「水剋火」(2008年4月8日 講談社ノベルス ISBN 4-0618-2591-7
  • 探偵小説のためのヴァリエイション「土剋水」(2008年7月8日 講談社ノベルス ISBN 4-0618-2601-8
  • 探偵小説のためのノスタルジア「木剋土」(2009年6月4日 講談社ノベルス ISBN 4-0618-2648-4
  • 探偵小説のためのインヴェンション 「金剋木」(2009年9月8日 講談社ノベルス ISBN 4-0618-2669-7
  • 探偵小説のためのゴシック「火剋金」(2010年1月7日 講談社ノベルス ISBN 4-0618-2692-1

イエユカシリーズ[編集]

光文社文庫版の表紙イラストは丹地陽子。

天帝シリーズにも登場する渡辺夕佳と、天才ピアニストの八重洲家康によるシリーズ。 ルビなどの文章装飾は天帝シリーズと比べて抑えめだが、本格ミステリに用いられるガジェットや設定が過剰に盛り込まれている作品が特徴。

二条実房シリーズ[編集]

主役は天帝シリーズにも登場する二条実房警視正。

警察小説でありながらも本格ミステリ的手続きによって解かれる謎と、これまでとは異なる趣でありながらも警察を舞台に奮闘する二条による青春小説とが融合したシリーズ。

  • 命に三つの鐘が鳴る Wの悲劇 '75(2011年5月19日 光文社 ISBN 4-3349-2757-2
    • 【改題】命に三つの鐘が鳴る 埼玉中央署新任警部補・二条実房(2015年06月11日 光文社文庫 ISBN 4-3347-6923-3
  • パダム・パダム Eの悲劇 '80(2013年6月19日 光文社 ISBN 4-3349-2886-2
    • 【改題】パダム・パダム 京都府警平安署新任署長・二条実房(2015年07月09日 光文社文庫 ISBN 4-334-76940-3
  • ストリート・クリスマス Xの悲劇 '85(2015年08月17日 光文社 ISBN 4-3349-1044-0

セーラー服と黙示録シリーズ[編集]

表紙イラストは九条キヨ

フーダニット(犯人論)の島津今日子、ハウダニット(手口論)の古野みづき、ホワイダニット(動機論)の葉月茉莉衣ら三人により、一つの事件を三階層に区切って導く解決篇が特徴的なシリーズ。

  • セーラー服と黙示録(2012年12月15日 角川書店 ISBN 4-0411-0341-X / 2015年09月24日 角川文庫 ISBN 4-0410-3359-4
  • 背徳のぐるりよざ セーラー服と黙示録(2013年10月29日 角川書店 ISBN 4-0411-0541-2
    • 【改題】ぐるりよざ殺人事件 セーラー服と黙示録(2016年1月23日 角川文庫 ISBN 4-04-103494-9
  • セーラー服とシャーロキエンヌ 穴井戸栄子の華麗なる事件簿(2014年1月29日 角川書店 ISBN 4-0411-0652-4
    • 収録作品:獅子座連盟 / 赤いルピア / だんだらの紐 / 六つの家康公
  • ねらわれた女学校 : セーラー服と黙示録(2016年9月24日 角川文庫 ISBN 4-0410-4452-9
    • 収録作品:消えたロザリオ / とらわれた吸血鬼 / あらわれた悪魔 / ねらわれた女学校

天帝シリーズとセーラー服シリーズのクロスオーバー作品であり、両シリーズの人物が登場する。

外田警部シリーズ[編集]

探偵小説シリーズに登場するテンプレート:読み仮名警部を主役に据えた、倒叙形式ミステリ。

刑事コロンボのオマージュとして、容疑者と睨んだ人物に仕掛ける執拗な質問や、逆トリックが特徴的。

  • 外田警部、カシオペアに乗る(2013年11月16日 光文社 ISBN 4-3349-2912-5
    • 収録作品:外田警部、カシオペアに乗る / 外田警部、のぞみ号に乗る / 外田警部、あずさ2号に乗る / 外田警部、市内線に乗る
  • 外田警部、TGVに乗る(2014年12月12日 光文社 ISBN 4-3349-2981-8

臨床真実士ユイカシリーズ[編集]

  • 臨床真実士ユイカの論理 文渡家の一族(2016年4月20日 講談社タイガ ISBN 978-4-06-294026-9
  • 臨床真実士ユイカの論理 ABX殺人事件 (2017年1月20日 講談社タイガ ISBN 978-4-06-294055-9

おんみょう紅茶屋らぷさんシリーズ[編集]

  • おんみょう紅茶屋らぷさん ~陰陽師のいるお店で、あなただけの一杯を~(2016年4月23日 メディアワークス文庫 ISBN 978-4-04-865963-5
  • おんみょう紅茶屋らぷさん ~式神のいるお店で、おかわりをどうぞ~(2017年1月25日 メディアワークス文庫 ISBN 978-4-04-892678-2

ノンシリーズ[編集]

ここでは便宜的に、天帝シリーズなどで展開される天帝世界とは違う、現実世界を元にした作品群を記載する。 なおこれらの作品は、作品間の繋がりはほとんど無いが、同一世界の物語であると作者が公言している。

新書[編集]

アンソロジー[編集]

「」内が古野まほろの作品

  • 学び舎は血を招く メフィスト学園1 (2008年11月 講談社ノベルス)「敲翼同惜少年春(センチメンタルレヴォリューション)」
  • 名探偵だって恋をする(2013年9月 角川文庫 ISBN 4-0410-1007-1)「消えたロザリオ――聖アリスガワ女学校の事件簿①」
電子書籍雑誌『小説屋sari-sari』にて掲載された作品と同様。
  • 謎の館へようこそ 白 新本格30周年記念アンソロジー(2017年9月 講談社タイガ)「文化会館の殺人――Dのディスパリシオン」

単行本未収録短編[編集]

  • 天帝シリーズ
  • 『その孤島の名は、虚』の主要人物らが登場
    • 女子高生たちが、校舎から出るに及んで(角川書店『小説屋sari-sari』2016年3月号)
    • 女子高生たちが、校舎から出るに及んで(解決編)(角川書店『小説屋sari-sari』2016年4月号)

雑誌掲載エッセイ[編集]

  • 『長い廊下がある家』――詩人・有栖川有栖(光文社『小説宝石』2010年12月号)
  • とあるホワイダニットの練習曲(光文社『小説宝石』2011年06月号)
  • 食わず嫌いはあかん(光文社『小説宝石』2012年02月号)
  • 本格を継ぐもの、として(光文社『小説宝石』2013年07月号)
  • 本格ミステリにおける正義と逆トリックの関係とは?(光文社『小説宝石』2013年12月号)
  • AMX-004 キュベレイ(青土社『ユリイカ』2012年12月臨時増刊号 永野護特集)
  • トラベルミステリにおける『解ったつもり』の効用について(光文社『小説宝石』2015年1月号)

作詞[編集]

外部リンク[編集]