ムック (出版)

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ムックは、雑誌と書籍をあわせた性格を持つ刊行物のことである。「MAGAZINE」のM、「BOOK」のOOKを合わせた言葉。雑誌コードは「ムック誌」という雑誌形態別コードを用いて、6から始まる5桁の数字に号数表す2桁の数字が使われる。書籍に使われるISBNコードも付される。扱いは雑誌なので、同じ出版社から出るムックは雑誌名(レーベル名)を持っている。宝島社を例に取ると、「別冊宝島」「e-MOOK」となる。

歴史[編集]

1971年の国際書誌連合の基調報告では、アメリカで誕生したmookが他国で成功してきていることが報告され、日本では1972年平凡社から出された『別冊太陽・日本のこころI 百人一首』が第1号と言われる。ムックが本格的に出版されるようになるのは婦人誌が別冊として生活情報の実用書を出すようになってからで、出版ニュース社は1976年の10大ニュースの一つとしてムックの登場を選んでいる。1978年には125シリーズのムックが登場して1000点以上が発刊。写真集絵本など内容も多彩になっていく。1980年代後半からの傾向は実用的なものが多くなっていった。

特徴とメリット[編集]

ムックの特徴は大判でビジュアルを重視したことにある。

全国出版協会出版科学研究所の『出版指標年報 1985年版』では、1980年代前半までのムックの特徴として3つの点を挙げている。雑誌は基本的に出版社は在庫も持たないが、ムックは長期的に販売を意図して書籍のように注文に応じて販売がなされること。返品期限がないこと。雑誌は返品期限があるため、書店に置かれる期間が限られる。内容は増刊や別冊となる雑誌本誌と同じ内容のもの、同じワンテーマに絞ったもの。書籍と代わらないものの3種類に大別されること。

川井良介は『出版の検証 敗戦から現在まで 1945-1995』で1990年代後半の時点でムックの特徴を6つ挙げる。雑誌コードを使うことで雑誌の流通を使えること。書籍よりも部数が多く出すことで価格も安価であること。原則として広告が入れられない書籍に対して広告収入も見込めること。外注の編集プロダクションによる制作費のコストダウン。販売日や刊行数が雑誌よりも自由であること。価格も自由に設定できること。返品期限を設けず長期に販売できることである。

その他に、1980年代後半から1990年代初めにかけて、3.5インチのフロッピーディスクCD-ROMは雑誌の付録として認可されていなかった。そのため、付録をつける目的でムック扱いになるパソコン雑誌が存在した。徳間書店の『MSX・FAN』は付録をつけるようになってから雑誌から全面的にムックに切り替えて毎号を発刊し、ソフトバンクの『Oh!Dyna』は付録がつく号だけムック扱いとしていた。この制限は後に緩和されて3.5インチのフロッピーディスクもCD-ROMも付録として認められている。

なお、2000年代に入ってからは、新企画雑誌のテストケースとして出されるもの、月刊誌・週刊誌の雑誌コードを取るまでの暫定として出るものも多い。返品期限については、雑誌だけでなく、書籍にも返品期限がある。が、岩波書店などを例外として、2006年現在は、ほとんどがフリー入帖(返品自由)となっている。また、ムックの雑誌コードを持っていない出版社には、同じタイトルの書籍を毎月出す形で事実上の雑誌を出しているところもある。その場合は広告が入っていることもある。

課題[編集]

使い勝手の良い形態であるためか、2006年現在はやや飽和状態となっている。供給過剰で市場(書店)からあふれるため、返品率が上がっている。

有名なレーベル[編集]

  • 別冊宝島」(宝島社
  • ユリイカ」「現代思想(雑誌)」(青土社)毎月出ているのであまり気づかれないが、月刊誌コードではなく、ずっとムックとして出されている。

参考資料[編集]

  • 日本出版学会編『出版の検証 敗戦から現在まで 1945-1995』 1996年、文化通信社
  • 出版ニュース社編『出版データブック 1945-1996』 1997年、出版ニュース社li:Mook

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