「黒磯小2女児誘拐事件」の版間の差分

提供: Yourpedia
移動: 案内検索
(ページの作成:「'''黒磯小2女児誘拐事件'''(くろいそしょうにじょじゆうかいじけん)は、2001年8月14日栃木県黒磯市(現・[[那須...」)
 
(主犯格の容疑者、上司に注意され会社辞める)
 
(2人の利用者による、間の4版が非表示)
1行目: 1行目:
 +
[[Image:秋元美穂ちゃん.gif|400px|thumb|秋元美穂ちゃん]]
 
'''黒磯小2女児誘拐事件'''(くろいそしょうにじょじゆうかいじけん)は、[[2001年]][[8月14日]]に[[栃木県]][[黒磯市]](現・[[那須塩原市]])で発生した[[誘拐事件]]である。
 
'''黒磯小2女児誘拐事件'''(くろいそしょうにじょじゆうかいじけん)は、[[2001年]][[8月14日]]に[[栃木県]][[黒磯市]](現・[[那須塩原市]])で発生した[[誘拐事件]]である。
 +
 +
小学2年生の秋元美穂ちゃん(7)が、無職の藤田竜一(22)と田中邦彦(21)に拉致監禁された。
 +
 +
犯人2人にそれぞれ懲役8年、懲役7年6か月の実刑判決が言い渡された(求刑はいずれも懲役10年)。現在は出所済。
  
 
== 事件の概要 ==
 
== 事件の概要 ==
無職の男A(当時22歳)と男B(当時21歳)が、女児(当時7歳)を自動車(Aが運転)に押し込み拉致、アパート(Bの自宅)に監禁した。女児は、祖父の家の前の路上で、妹と水遊びをしていたところだった。
+
無職の藤田竜一(当時22歳)と田中邦彦(当時21歳)が、秋元美穂ちゃん(当時7歳)を自動車(藤田竜一が運転)に押し込み拉致、アパート(田中邦彦の自宅)に監禁した。女児は、祖父の家の前の路上で、妹と水遊びをしていたところだった。
  
アパートでは、女児の目を粘着テープでふさぎ、両手足を布のベルトで縛って「静かにしろ。静かにしないと死ぬことになる」と脅し、逃げられないようにした。少女を持て余した2人は「いっそのこと殺そうか」などとも言い合ったが 結局、翌日正午過ぎに路上で解放した。その後、女児は自分で自宅に電話をかけ、保護された。
+
アパートでは、秋元美穂ちゃんの目を粘着テープでふさぎ、両手足を布のベルトで縛って「静かにしろ。静かにしないと死ぬことになる」と脅し、逃げられないようにした。少女を持て余した2人は「いっそのこと殺そうか」などとも言い合ったが 結局、翌日正午過ぎに路上で解放した。その後、秋元美穂ちゃんは自分で自宅に電話をかけ、保護された。
  
 
== 逮捕 ==
 
== 逮捕 ==
 
[[栃木県警察|栃木県警]]黒磯署(現:[[那須塩原警察署|那須塩原署]])は2001年[[8月22日]]、近所に住む男A(当時22歳)、B(当時21歳)2名を未成年者略取容疑で逮捕した。
 
[[栃木県警察|栃木県警]]黒磯署(現:[[那須塩原警察署|那須塩原署]])は2001年[[8月22日]]、近所に住む男A(当時22歳)、B(当時21歳)2名を未成年者略取容疑で逮捕した。
* Aは犯行から一週間後に母親に頼んで警察に電話をかけてもらい自首をした。
+
* 藤田竜一は犯行から一週間後に母親に頼んで警察に電話をかけてもらい自首をした。
* Bは逃走の末さいたま市内で逮捕される。
+
* 田中邦彦は逃走の末さいたま市内で逮捕される。
* Aは調べに対し女児誘拐はゲーム感覚で「かわいかったので手元に置きたくなった」と述べる。また「趣味はアニメとゲームで、東京で開かれるアニメキャラのコスプレにもよく参加していた。架空の世界の主人公になりきるのが好きだった」と、自らの性癖を明かし、捜査員を呆れさせた。親しい友人に「今度、小学生を狙おうかな」とも漏らしていたことから、現実と虚構の陥穽で“ゲーム”感覚の犯行に及んだとみられた。
+
* 藤田竜一は調べに対し女児誘拐はゲーム感覚で「かわいかったので手元に置きたくなった」と述べる。また「趣味はアニメとゲームで、東京で開かれるアニメキャラのコスプレにもよく参加していた。架空の世界の主人公になりきるのが好きだった」と、自らの性癖を明かし、捜査員を呆れさせた。親しい友人に「今度、小学生を狙おうかな」とも漏らしていたことから、現実と虚構の陥穽で“ゲーム”感覚の犯行に及んだとみられた。というよりも、単に欲求を抑えられなくなり犯行に及んだとみられる。
 +
 
 +
== 一見まじめだが、何を考えているかわからず、人と深く付き合うのを極度に嫌う ==
 +
栃木県黒磯市の小学生誘拐事件で、22日未明に逮捕された藤田竜一を知人らはこう語る。
 +
 
 +
趣味はパソコンにアニメ、テレビゲーム。自分のホームページでアニメ風の自作の絵などを公開。同人誌を東京のコミックマーケットで販売した。
 +
 
 +
「バーチャル(仮想)な世界に浸るうち、現実と空想の区別がつかなくなっているところがあった」と中学時代からの友人は言うが、そもそも「現実と空想の区別がつかなくなる」という現象は根拠がなくその存在が、疑問視されている。共犯とされる田中邦彦と小学校時代から仲が良かった。田中は、内気で「いじめ」にあうことも多く、藤田に頼る面が強かったという。
 +
 
 +
2人には「ゲーム」「アニメ」という共通の趣味もあった。藤田は中学の卒業文集で、「影響を受けた人」の問いにゲーム店の店長や常連客の名前をあげている。
 +
 
 +
「夜ノ森一輝(よのもりかずき)」。藤田容疑者はこのペンネームでホームページを開設。自作のイラストやマンガなどを掲載したが、昨年7月初めごろ、「掲示板」のコーナーに突然、「死にたい」「自分には才能がない」などと書き込んだ。「何もないほう良いよ。記憶なんて……無ければいいのに……」という記述もあった
 +
 
 +
== 主犯格の容疑者、会社を辞めてイライラしていた ==
 +
藤田は職業安定所を通じて今年4月、近くの印刷会社に就職。パソコンでチラシやはがきのレイアウトをする仕事をしていた。試用期間を終えて7月には正社員になっていたが、事件直前の8月6日から会社に行かなくなっていた。田中も1年近く勤めた警備会社を7月下旬に辞めていた。
 +
 
 +
== 「解放し身軽になろう」田中が提案 ==
 +
この2人は8月14日正午頃、黒磯市市豊町の祖父宅前の路上で遊んでいた美穂ちゃんを車で誘拐、田中容疑者の自宅アパートに監禁した。
 +
 
 +
藤田と美穂ちゃんとは面識がなく、「偶然目についたので連れ去った」。拉致された際、藤田とみられる男が車を運転し、監禁中はこの男がもう1人に命令口調で話していた。美穂ちゃんに身体的な危害は加えていないという。
 +
 
 +
同日夜遅く、田中が「今なら自分たちの犯行であることはわからない。解放して身軽になろう」と持ちかけた。藤田は「いや、それはまずい」と拒んだが、田中は美穂ちゃんに「僕たちのことは絶対に話してはだめだよ」などと話し、美穂ちゃんは「わかった」と返答。
 +
 
 +
田中の「この子も約束してくれたから、帰そう」という説得に藤田が同意。二人は翌日正午ごろ、監禁場所から約500mの市文化会館周辺で美穂ちゃんを解放した。その際、田中はポケットから220円分の小銭を取り出し、「これで家に電話をして」と美穂ちゃんに渡した。「ちゃんとかけられるよう、背が低い方の電話を使うんだよ」と言い聞かせたという。
 +
 
 +
== 黒磯誘拐犯が描いたロリコン漫画 ==
 +
『週刊女性』では、主犯格の男が恋愛アドベンチャーゲーム「Kanon」を題材に描いた同人誌を「黒磯誘拐犯が描いたロリコン漫画」として取り上げ、「Kanonのタイトルに深い意味が込められている」「劇中の登場人物である『月宮あゆ』が誘拐された女児にそっくりである」「登場人物の『祐一』と藤田の名前の音が似ているため、『祐一』は藤田の分身である」などとの記事を掲載した
 +
 
 +
「まず、彼のような年齢でこのような女の子を描くというのは、大別してロリコンであるといえると思います。まともな成熟した女性とは付き合えない、精神構造的に幼稚なタイプですね。」
 +
 
 +
「内容を見ても、随所で女の子をいじめてますね。もちろん、この場合は、女の子がたい焼きを盗んだことがいけないのですが、一方では“ロリコン的なサディズム”の表れだと見ることもできます。彼は、幼い女の子が好きだけれど、いじめたいと言う気持ちもあるんですね。こういった衝動は、相当、以前からあったんだと思います。その欲望がついに抑えきれなくなったというのが、今回の事件なのではないでしょうか」
 +
 
 +
藤田は同人誌でマンガを描く、“自称マンガ家”だったが、HPで公開していた自作マンガの内容は、恋愛シミュレーションゲームの人気キャラ、月宮あゆちゃんを題材にした“ヤオイ系”(ヤマなし、オチなし、意味なし)の作品で、たい焼きを 盗んだ少女とそのボーイフレンドのやりとりが描かれている。
 +
 
 +
「絵のレベル的には『中の下』か、『下の上』といったところ。内容的にも新味はない。この人が個人で作品集を作ったとしても、同人誌の即売会ではまず売れないでしょうね。」
 +
 
 +
藤田竜一が自らのホームページ上に掲載していたマンガについて、東京・秋葉原で同人誌を扱う店の店長はそう「批評」する。
  
 
== 裁判 ==
 
== 裁判 ==
 
* 裁判中検察官に「[[新潟少女監禁事件|新潟の女性監禁事件]]の(監禁期間であった)9年を超えようと言ったんですね」と問われると「はい」とA被告は答えている。その事件についても「正直、うらやましいと思ったことはあります」と答えている。
 
* 裁判中検察官に「[[新潟少女監禁事件|新潟の女性監禁事件]]の(監禁期間であった)9年を超えようと言ったんですね」と問われると「はい」とA被告は答えている。その事件についても「正直、うらやましいと思ったことはあります」と答えている。
* B被告が犯行前に被害者を縛るためガムテープなどを購入したホームセンターで首輪を買うことも提案していた事実が明らかになる。
+
* 田中邦彦が犯行前に被害者を縛るためガムテープなどを購入したホームセンターで首輪を買うことも提案していた事実が明らかになる。
* B被告が事件前に小学生女児を物色し、小学校の周辺をうろついていたことが明らかになる。
+
* 田中邦彦が事件前に小学生女児を物色し、小学校の周辺をうろついていたことが明らかになる。
 
* 検察側は論告で「幼い被害者に与えた精神的影響は重大。少なくとも被害者が高校を卒業するまでは刑に服する必要がある」と述べた。
 
* 検察側は論告で「幼い被害者に与えた精神的影響は重大。少なくとも被害者が高校を卒業するまでは刑に服する必要がある」と述べた。
  
 
== 判決 ==
 
== 判決 ==
[[2003年]][[3月20日]]に[[宇都宮地方裁判所]]<ref>
+
[[2003年]][[3月20日]]に[[宇都宮地方裁判所]]にて、藤田竜一に懲役8年、田中邦彦に懲役7年6か月の実刑判決が言い渡された(求刑はいずれも懲役10年)。(現在は出所。)
本来、黒磯市(現:那須塩原市)は宇都宮地方裁判所大田原支部([[大田原市]])の管轄であるが、
+
本事件のように合議事件は取り扱っていないため、宇都宮地方裁判所本庁([[宇都宮市]])が代行している。</ref>
+
にて、主犯格A懲役8年、Bに懲役7年6か月の実刑判決が言い渡された(求刑はいずれも懲役10年)。(現在は出所。)
+
  
 
== 事件発生当時の報道について ==
 
== 事件発生当時の報道について ==
主犯格A(当時22歳)の趣味が[[美少女ゲーム]]であることや、[[コミックマーケット]]に参加し[[同人誌]]を頒布していたことなどをマスメディアが報じた。例として、『[[週刊女性]]』では主犯格の男が[[恋愛アドベンチャーゲーム]]「[[Kanon (ゲーム)|Kanon]]」を題材に描いた同人誌を'''「黒磯誘拐犯が描いたロリコン漫画」'''として取り上げ、「Kanonのタイトルに深い意味が込められている」「劇中の登場人物である『月宮あゆ』が誘拐された女児にそっくりである」「登場人物の『祐一』と犯人Aの名前の音が似ているため、『祐一』は犯人Aの分身である」などとの記事を掲載した<ref>「[[ゲームラボ]]」の2001年11月号では、当該記事に対する批判が掲載された。</ref>。
+
藤田竜一(当時22歳)の趣味が[[美少女ゲーム]]であることや、[[コミックマーケット]]に参加し[[同人誌]]を頒布していたことなどをマスメディアが報じた。例として、『[[週刊女性]]』では主犯格の男が[[恋愛アドベンチャーゲーム]]「[[Kanon (ゲーム)|Kanon]]」を題材に描いた同人誌を'''「黒磯誘拐犯が描いたロリコン漫画」'''として取り上げ、「Kanonのタイトルに深い意味が込められている」「劇中の登場人物である『月宮あゆ』が誘拐された女児にそっくりである」「登場人物の『祐一』と犯人Aの名前の音が似ているため、『祐一』は藤田竜一の分身である」などとの記事を掲載した。
 +
 
 
これに対し、ゲーム業界などからは'''「漫画・アニメ・ゲーム愛好者に対する偏見を煽っているのではないか」'''との批判が発生した。
 
これに対し、ゲーム業界などからは'''「漫画・アニメ・ゲーム愛好者に対する偏見を煽っているのではないか」'''との批判が発生した。
  
== 脚注 ==
+
== 犯人たちの肖像 ==
<references/>
+
藤田の中学校の卒業文集
 +
 
 +
* 将来の夢:風になる!
 +
* 自分の前世:なんと魔王ルシファー様だ
 +
* 宇宙人はいると思いますか:悪魔ならいるゾ
 +
* 一度だけ魔法が使えるとしたら:とーめー人間になってイタズラ人生さ
 +
 
 +
そして、好きなテレビ番組は「魔法のエンジェル・[[スイートミント]]」「花の魔法使い・[[マリーベル]]」「魔法のプリンセス・[[ミンキーモモ]]」「[[メイプルタウン物語]]」「[[ママは小学4年生]]」「[[きんぎょ注意報]]」などなど。
 +
 
 +
そんなこんなで2人そろって不登校になりながら、どうにか中学を卒業。それぞれ定時制高校を卒業したり数ヶ月で辞めたりした後、仕事を転々としていた。そして、藤田は夜ノ森一輝(よのもりかずき)のペンネームで同人活動を開始。ホームページでイラストを公開したり、コミケで同人誌を売ったりしていた。
 +
 
 +
そのミラーサイトや別館のミラーサイトを見ると、LeafやKeyのエロゲーが好きだったようだ。また、ホモ系にも興味を持っていたらしく、本当に藤田×田中な関係だった可能性も垣間見える。
 +
 
 +
「いずれは今風に言うと『カリスマ同人コスプレサークル』と言う長い肩書き的な称号を得て、笑って楽しく踊って活躍したいです」。そんな頭の悪い抱負を語る彼の日記は、次のような感じだった。
 +
 
 +
<pre>
 +
 5/31
 +
 
 +
 同人ショップあきばお~こくにて。
 +
 おんぷちゃん抱き枕を発見。
 +
 無償に欲しくなった。
 +
 セリオとおんぷちゃんで両手に花状態で寝ってるなームフフな感じだにゃー。
 +
 しかしタダでさえ金欠だってのに、あんな高いもの買ったら死ねる。
 +
</pre>
 +
 
 +
昨年の7月、ディスカウントストアに勤めていた藤田は無断欠勤でクビに。その際、「家族とトラブルがあり、彼女にもふられた。何もかもいやになった」と述べた。「ふられた」というのはまがりなりにも現実の彼女がいたのか、エロゲーのキャラクターのことなのか気になる。
 +
 
 +
ともあれ、家族関係・恋人関係(?)で色々あって失業した藤田。自分のホームページの掲示板に、「死にたい」「自分には才能がない」「何もないほうが……良いよ。記憶なんて……無ければいいのに……」などと書き込む。
 +
 
 +
また、日記にも次のように書いていた。
 +
 
 +
<pre>
 +
 7月雨の日
 +
 
 +
 自分にどれだけの価値があるのか・・・?
 +
 存在意義、つまりは引き止める理由。
 +
 
 +
 いや、なんだかんだ言ってやっぱさすがに
 +
 簡単には立ち直れませんわ。
 +
 
 +
 これだけ日を経ても、まだそういうことを言っているのは
 +
 さすがにやばいかも。そして自己嫌悪。
 +
 
 +
 誰か、助けてください・・・
 +
 
 +
 7月雨の日2
 +
 
 +
 雨の日は好き・・・
 +
 だって嫌な気持ちを打ち消してくれるみたいだから・・・
 +
 嫌い、嫌い。
 +
 一番嫌いなのは・・・僕。
 +
 僕なんて・・・
 +
</pre>
 +
 
 +
藤田の文章はエロゲーの影響受けすぎである。
 +
 
 +
今年の春、藤田はニセ履歴書を出して印刷会社に再就職。試用期間を経て、7月から正社員になった。これでまっとうな社会人になる…かと思いきや、藤田は会社から3ヶ月分の定期代2万円を貰っておいて同僚の車に便乗して通勤。セコく儲けていた。
 +
 
 +
それがバレて、8月6日には退社。ふたたび無職に舞い戻った藤田&田中は、中古ソフトを売ったりしながらの貧乏生活に突入する。
 +
 
 +
そんな頃、全身を黒で固めたオタクファッションの田中が、小学校の前をウロウロして女児を物色している姿が目撃された。さらに数日後には、藤田が友人に「犯罪者になっても友だちでいてくれ」などと話した。
 +
 
 +
すでにこの頃には、近所の女子小学生に声をかけたりしていた。
 +
 
 +
そして、8月14日の昼。
 +
 
 +
コミケに行こうと出かけながらお金がなくて引き返してきた2人は、路上で水遊びをしている4歳児と7歳児を見かけた。
 +
 
 +
「かわいかったので、とっさに手元に置いておきたくなった」。
 +
 
 +
…その時の心境を、藤田はそう振り返る。そして、4歳児は無視して7歳児を車に押し込み、そのままアパートに連れて行った。しかし、その日の夜には弱気になる2人。
 +
 
 +
田中「今なら自分たちの犯行であることはわからない。解放して身軽になろう」
 +
 
 +
藤田「…いや、それは」
 +
 
 +
田中「美穂ちゃん、僕たちのことは絶対に話してはだめだよ」
 +
 
 +
美穂ちゃん「わかった!」
 +
 
 +
田中「この子も約束してくれたから、帰そう」
 +
 
 +
そして翌日の昼、美穂ちゃんを解放。しかし、食事やトイレのとき以外はガムテープで目隠しをされていた美穂ちゃんでしたが、犯人の顔や部屋の様子は目ざとくチェックしていた。
 +
 
 +
監禁された部屋は、ユニットバスとミニキッチン付きのワンルーム。テレビや本棚。夜には花火の音。外付けの階段。駐車場。近くに赤い建物。車は白のセダンで、車内のミラーには猫のマスコット人形。
 +
 
 +
それだけバラしまくって、犯人の似顔絵まで書いてしまう美穂ちゃん(7歳)。その情報を元に、藤田と田中の身元はあっさり特定。全国に指名手配されてしまった。
 +
 
 +
そうして藤田は1週間の逃亡の末、実家に。21日の昼には母親が署に電話して、その夜に逮捕された。一方、所持金は1万円程度と思われる田中はしばらくの間は逃亡した。
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
45行目: 172行目:
 
[[Category:栃木県の歴史]]
 
[[Category:栃木県の歴史]]
 
[[Category:那須塩原市]]
 
[[Category:那須塩原市]]
 +
[[Category:おたく]]
 +
[[Category:ロリコン]]

2016年6月9日 (木) 08:10時点における最新版

秋元美穂ちゃん

黒磯小2女児誘拐事件(くろいそしょうにじょじゆうかいじけん)は、2001年8月14日栃木県黒磯市(現・那須塩原市)で発生した誘拐事件である。

小学2年生の秋元美穂ちゃん(7)が、無職の藤田竜一(22)と田中邦彦(21)に拉致監禁された。

犯人2人にそれぞれ懲役8年、懲役7年6か月の実刑判決が言い渡された(求刑はいずれも懲役10年)。現在は出所済。

事件の概要[編集]

無職の藤田竜一(当時22歳)と田中邦彦(当時21歳)が、秋元美穂ちゃん(当時7歳)を自動車(藤田竜一が運転)に押し込み拉致、アパート(田中邦彦の自宅)に監禁した。女児は、祖父の家の前の路上で、妹と水遊びをしていたところだった。

アパートでは、秋元美穂ちゃんの目を粘着テープでふさぎ、両手足を布のベルトで縛って「静かにしろ。静かにしないと死ぬことになる」と脅し、逃げられないようにした。少女を持て余した2人は「いっそのこと殺そうか」などとも言い合ったが 結局、翌日正午過ぎに路上で解放した。その後、秋元美穂ちゃんは自分で自宅に電話をかけ、保護された。

逮捕[編集]

栃木県警黒磯署(現:那須塩原署)は2001年8月22日、近所に住む男A(当時22歳)、B(当時21歳)2名を未成年者略取容疑で逮捕した。

  • 藤田竜一は犯行から一週間後に母親に頼んで警察に電話をかけてもらい自首をした。
  • 田中邦彦は逃走の末さいたま市内で逮捕される。
  • 藤田竜一は調べに対し女児誘拐はゲーム感覚で「かわいかったので手元に置きたくなった」と述べる。また「趣味はアニメとゲームで、東京で開かれるアニメキャラのコスプレにもよく参加していた。架空の世界の主人公になりきるのが好きだった」と、自らの性癖を明かし、捜査員を呆れさせた。親しい友人に「今度、小学生を狙おうかな」とも漏らしていたことから、現実と虚構の陥穽で“ゲーム”感覚の犯行に及んだとみられた。というよりも、単に欲求を抑えられなくなり犯行に及んだとみられる。

一見まじめだが、何を考えているかわからず、人と深く付き合うのを極度に嫌う[編集]

栃木県黒磯市の小学生誘拐事件で、22日未明に逮捕された藤田竜一を知人らはこう語る。

趣味はパソコンにアニメ、テレビゲーム。自分のホームページでアニメ風の自作の絵などを公開。同人誌を東京のコミックマーケットで販売した。

「バーチャル(仮想)な世界に浸るうち、現実と空想の区別がつかなくなっているところがあった」と中学時代からの友人は言うが、そもそも「現実と空想の区別がつかなくなる」という現象は根拠がなくその存在が、疑問視されている。共犯とされる田中邦彦と小学校時代から仲が良かった。田中は、内気で「いじめ」にあうことも多く、藤田に頼る面が強かったという。

2人には「ゲーム」「アニメ」という共通の趣味もあった。藤田は中学の卒業文集で、「影響を受けた人」の問いにゲーム店の店長や常連客の名前をあげている。

「夜ノ森一輝(よのもりかずき)」。藤田容疑者はこのペンネームでホームページを開設。自作のイラストやマンガなどを掲載したが、昨年7月初めごろ、「掲示板」のコーナーに突然、「死にたい」「自分には才能がない」などと書き込んだ。「何もないほう良いよ。記憶なんて……無ければいいのに……」という記述もあった

主犯格の容疑者、会社を辞めてイライラしていた[編集]

藤田は職業安定所を通じて今年4月、近くの印刷会社に就職。パソコンでチラシやはがきのレイアウトをする仕事をしていた。試用期間を終えて7月には正社員になっていたが、事件直前の8月6日から会社に行かなくなっていた。田中も1年近く勤めた警備会社を7月下旬に辞めていた。

「解放し身軽になろう」田中が提案[編集]

この2人は8月14日正午頃、黒磯市市豊町の祖父宅前の路上で遊んでいた美穂ちゃんを車で誘拐、田中容疑者の自宅アパートに監禁した。

藤田と美穂ちゃんとは面識がなく、「偶然目についたので連れ去った」。拉致された際、藤田とみられる男が車を運転し、監禁中はこの男がもう1人に命令口調で話していた。美穂ちゃんに身体的な危害は加えていないという。

同日夜遅く、田中が「今なら自分たちの犯行であることはわからない。解放して身軽になろう」と持ちかけた。藤田は「いや、それはまずい」と拒んだが、田中は美穂ちゃんに「僕たちのことは絶対に話してはだめだよ」などと話し、美穂ちゃんは「わかった」と返答。

田中の「この子も約束してくれたから、帰そう」という説得に藤田が同意。二人は翌日正午ごろ、監禁場所から約500mの市文化会館周辺で美穂ちゃんを解放した。その際、田中はポケットから220円分の小銭を取り出し、「これで家に電話をして」と美穂ちゃんに渡した。「ちゃんとかけられるよう、背が低い方の電話を使うんだよ」と言い聞かせたという。

黒磯誘拐犯が描いたロリコン漫画[編集]

『週刊女性』では、主犯格の男が恋愛アドベンチャーゲーム「Kanon」を題材に描いた同人誌を「黒磯誘拐犯が描いたロリコン漫画」として取り上げ、「Kanonのタイトルに深い意味が込められている」「劇中の登場人物である『月宮あゆ』が誘拐された女児にそっくりである」「登場人物の『祐一』と藤田の名前の音が似ているため、『祐一』は藤田の分身である」などとの記事を掲載した

「まず、彼のような年齢でこのような女の子を描くというのは、大別してロリコンであるといえると思います。まともな成熟した女性とは付き合えない、精神構造的に幼稚なタイプですね。」

「内容を見ても、随所で女の子をいじめてますね。もちろん、この場合は、女の子がたい焼きを盗んだことがいけないのですが、一方では“ロリコン的なサディズム”の表れだと見ることもできます。彼は、幼い女の子が好きだけれど、いじめたいと言う気持ちもあるんですね。こういった衝動は、相当、以前からあったんだと思います。その欲望がついに抑えきれなくなったというのが、今回の事件なのではないでしょうか」

藤田は同人誌でマンガを描く、“自称マンガ家”だったが、HPで公開していた自作マンガの内容は、恋愛シミュレーションゲームの人気キャラ、月宮あゆちゃんを題材にした“ヤオイ系”(ヤマなし、オチなし、意味なし)の作品で、たい焼きを 盗んだ少女とそのボーイフレンドのやりとりが描かれている。

「絵のレベル的には『中の下』か、『下の上』といったところ。内容的にも新味はない。この人が個人で作品集を作ったとしても、同人誌の即売会ではまず売れないでしょうね。」

藤田竜一が自らのホームページ上に掲載していたマンガについて、東京・秋葉原で同人誌を扱う店の店長はそう「批評」する。

裁判[編集]

  • 裁判中検察官に「新潟の女性監禁事件の(監禁期間であった)9年を超えようと言ったんですね」と問われると「はい」とA被告は答えている。その事件についても「正直、うらやましいと思ったことはあります」と答えている。
  • 田中邦彦が犯行前に被害者を縛るためガムテープなどを購入したホームセンターで首輪を買うことも提案していた事実が明らかになる。
  • 田中邦彦が事件前に小学生女児を物色し、小学校の周辺をうろついていたことが明らかになる。
  • 検察側は論告で「幼い被害者に与えた精神的影響は重大。少なくとも被害者が高校を卒業するまでは刑に服する必要がある」と述べた。

判決[編集]

2003年3月20日宇都宮地方裁判所にて、藤田竜一に懲役8年、田中邦彦に懲役7年6か月の実刑判決が言い渡された(求刑はいずれも懲役10年)。(現在は出所。)

事件発生当時の報道について[編集]

藤田竜一(当時22歳)の趣味が美少女ゲームであることや、コミックマーケットに参加し同人誌を頒布していたことなどをマスメディアが報じた。例として、『週刊女性』では主犯格の男が恋愛アドベンチャーゲームKanon」を題材に描いた同人誌を「黒磯誘拐犯が描いたロリコン漫画」として取り上げ、「Kanonのタイトルに深い意味が込められている」「劇中の登場人物である『月宮あゆ』が誘拐された女児にそっくりである」「登場人物の『祐一』と犯人Aの名前の音が似ているため、『祐一』は藤田竜一の分身である」などとの記事を掲載した。

これに対し、ゲーム業界などからは「漫画・アニメ・ゲーム愛好者に対する偏見を煽っているのではないか」との批判が発生した。

犯人たちの肖像[編集]

藤田の中学校の卒業文集

  • 将来の夢:風になる!
  • 自分の前世:なんと魔王ルシファー様だ
  • 宇宙人はいると思いますか:悪魔ならいるゾ
  • 一度だけ魔法が使えるとしたら:とーめー人間になってイタズラ人生さ

そして、好きなテレビ番組は「魔法のエンジェル・スイートミント」「花の魔法使い・マリーベル」「魔法のプリンセス・ミンキーモモ」「メイプルタウン物語」「ママは小学4年生」「きんぎょ注意報」などなど。

そんなこんなで2人そろって不登校になりながら、どうにか中学を卒業。それぞれ定時制高校を卒業したり数ヶ月で辞めたりした後、仕事を転々としていた。そして、藤田は夜ノ森一輝(よのもりかずき)のペンネームで同人活動を開始。ホームページでイラストを公開したり、コミケで同人誌を売ったりしていた。

そのミラーサイトや別館のミラーサイトを見ると、LeafやKeyのエロゲーが好きだったようだ。また、ホモ系にも興味を持っていたらしく、本当に藤田×田中な関係だった可能性も垣間見える。

「いずれは今風に言うと『カリスマ同人コスプレサークル』と言う長い肩書き的な称号を得て、笑って楽しく踊って活躍したいです」。そんな頭の悪い抱負を語る彼の日記は、次のような感じだった。

 5/31

 同人ショップあきばお~こくにて。
 おんぷちゃん抱き枕を発見。
 無償に欲しくなった。
 セリオとおんぷちゃんで両手に花状態で寝ってるなームフフな感じだにゃー。
 しかしタダでさえ金欠だってのに、あんな高いもの買ったら死ねる。

昨年の7月、ディスカウントストアに勤めていた藤田は無断欠勤でクビに。その際、「家族とトラブルがあり、彼女にもふられた。何もかもいやになった」と述べた。「ふられた」というのはまがりなりにも現実の彼女がいたのか、エロゲーのキャラクターのことなのか気になる。

ともあれ、家族関係・恋人関係(?)で色々あって失業した藤田。自分のホームページの掲示板に、「死にたい」「自分には才能がない」「何もないほうが……良いよ。記憶なんて……無ければいいのに……」などと書き込む。

また、日記にも次のように書いていた。

 7月雨の日

 自分にどれだけの価値があるのか・・・?
 存在意義、つまりは引き止める理由。

 いや、なんだかんだ言ってやっぱさすがに
 簡単には立ち直れませんわ。

 これだけ日を経ても、まだそういうことを言っているのは
 さすがにやばいかも。そして自己嫌悪。

 誰か、助けてください・・・

 7月雨の日2

 雨の日は好き・・・
 だって嫌な気持ちを打ち消してくれるみたいだから・・・
 嫌い、嫌い。
 一番嫌いなのは・・・僕。
 僕なんて・・・

藤田の文章はエロゲーの影響受けすぎである。

今年の春、藤田はニセ履歴書を出して印刷会社に再就職。試用期間を経て、7月から正社員になった。これでまっとうな社会人になる…かと思いきや、藤田は会社から3ヶ月分の定期代2万円を貰っておいて同僚の車に便乗して通勤。セコく儲けていた。

それがバレて、8月6日には退社。ふたたび無職に舞い戻った藤田&田中は、中古ソフトを売ったりしながらの貧乏生活に突入する。

そんな頃、全身を黒で固めたオタクファッションの田中が、小学校の前をウロウロして女児を物色している姿が目撃された。さらに数日後には、藤田が友人に「犯罪者になっても友だちでいてくれ」などと話した。

すでにこの頃には、近所の女子小学生に声をかけたりしていた。

そして、8月14日の昼。   コミケに行こうと出かけながらお金がなくて引き返してきた2人は、路上で水遊びをしている4歳児と7歳児を見かけた。

「かわいかったので、とっさに手元に置いておきたくなった」。

…その時の心境を、藤田はそう振り返る。そして、4歳児は無視して7歳児を車に押し込み、そのままアパートに連れて行った。しかし、その日の夜には弱気になる2人。

田中「今なら自分たちの犯行であることはわからない。解放して身軽になろう」   藤田「…いや、それは」   田中「美穂ちゃん、僕たちのことは絶対に話してはだめだよ」   美穂ちゃん「わかった!」

田中「この子も約束してくれたから、帰そう」

そして翌日の昼、美穂ちゃんを解放。しかし、食事やトイレのとき以外はガムテープで目隠しをされていた美穂ちゃんでしたが、犯人の顔や部屋の様子は目ざとくチェックしていた。

監禁された部屋は、ユニットバスとミニキッチン付きのワンルーム。テレビや本棚。夜には花火の音。外付けの階段。駐車場。近くに赤い建物。車は白のセダンで、車内のミラーには猫のマスコット人形。

それだけバラしまくって、犯人の似顔絵まで書いてしまう美穂ちゃん(7歳)。その情報を元に、藤田と田中の身元はあっさり特定。全国に指名手配されてしまった。

そうして藤田は1週間の逃亡の末、実家に。21日の昼には母親が署に電話して、その夜に逮捕された。一方、所持金は1万円程度と思われる田中はしばらくの間は逃亡した。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]