大韓民国国軍

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大韓民国国軍(だいかんみんこくこくぐん)は、大韓民国(韓国)が保有する軍隊である。

概要

朝鮮半島において韓国は軍事境界線を挟んで朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と対峙する地理的位置にある。朝鮮戦争冷戦を経て韓国軍は国家の安全保障を達成するために常に臨戦体制を維持してきた。韓国軍の目標は1981年11月の国防部政策会議の議決によれば「敵の武力進行から国家を防衛し、平和統一を支援し、地域的な安定と平和に寄与する」と定められている。韓国全軍の最高指揮官は憲法63条3項において大統領とされており、「国軍を統帥する最高指揮官」であり、朝鮮半島の統一について憲法上の義務を負っている。

韓国軍は陸海空の三軍体制であり、2014年10月時点の国防部長官は韓民求(ハン・ミング)、合同参謀本部議長は崔潤喜(チェ・ユンヒ)であるが、ほぼ陸軍大将の指定職となっている。現有総兵力は約63.5万人、うち陸軍約50万、海軍約7万人(海兵隊2.9万人含む)、空軍6.5万人、予備役380万人である。さらに在韓米軍2万8,500人が駐在する。朝鮮戦争以来の米韓同盟にてアメリカ軍との制度と運用面での緊密な連携があり、しばしば共同軍事演習を実施している。平時の作戦統制権は韓国軍が単独行使するが、有事の際の戦時作戦統制権は米韓連合司令部が掌握している。韓国軍への戦時作戦統制権の返還が議論されてきたが複数回にわたり延期を繰り返し、少なくとも2020年代半ばまでは米韓連合司令部が戦時作戦統制権を司ることが決定している。

大韓民国海軍は1973年から大韓民国海兵隊を隷下に持つ。さらに、正規軍以外に予備役大韓民国郷土予備軍)や民防衛隊という軍事組織がある。

アメリカの軍事専門家でアメリカ国務省・国防総省のコンサルタントでもあるJames F. Dunniganは2003年の自身の著書において韓国の軍事力を米中露に次ぐ4位に位置付けた。アメリカのGlobal firepower.comによる2012年の軍事力ランキングにおいて、韓国はトルコに次ぐ7位でありアジアでは中国、インドに次ぐ3位である。

イギリス王立合同軍事研究所(Royal United Services Institute)は2002年に核戦力を除いた軍事力ランキングを発表し、韓国を米中露仏英に次ぐ6位に位置付けた。同報告書において韓国の軍事力を陸海空別にみると、陸軍4位、空軍8位、海軍10位であり、陸軍に偏った戦力の不均衡が伺える。

韓国軍、1億3000万円ミサイル2発を「間違って海に落とした」末期的ミスに国民ため息(2017年1月)

韓国海軍の対潜哨戒機「P-3CK」が対艦ミサイル「ハープーン」など計6発の武装を海に落としていたことが明らかになった。総額約4~5億円の武装を落とした理由について、軍は「乗務員の操作ミス」と発表。

韓国では朴槿恵大統領の友人、崔順実被告の国政介入事件で政情が不安定化しているが、軍のお粗末なミスで政権への批判は強まるばかり。さらに“悪影響”は日本にも…。

韓国通信社の聯合ニュースなどによると、武装を海へ投げ捨てる信じがたい失敗が起こったのは1日午前6時10分ごろ。韓国北東部の江原道沿岸約60キロの海域で、飛行中だったP-3CK対潜哨戒機が搭載していた武装すべてを誤って海に投下した。

爆弾やミサイルを搭載する軍用機には基本的に緊急投棄スイッチがある。これは敵機の奇襲攻撃を受けた際や、自身の機体のトラブル発生時に、機体を身軽にするために装備されている。特に主脚など降着装置のトラブルで不時着する際などに備えて必須のシステムだ。

もちろん緊急時以外に誤って操作することのないよう、スイッチにはカバーがかけられるなどの安全装置がついているが、韓国海軍の説明ではなぜか「誤って」操作してしまったという。

朝鮮日報によると、海軍関係者は「元旦から恥さらしな事故がおきて、国民に申し訳なく思う」といったコメントを発表したが、いまさらの話ではある。これまでに韓国軍が落としたモノは、伝説級の連発だった。

韓国空軍は2011年6月、ハープーン対艦ミサイル同様に物騒な空対地ミサイルAGM-142「ポップアイ」を2発、海に落としている。この時は旧式(米軍の中古)のF-4ファントム戦闘機を使い、同機からポップアイを発射する訓練中だった。3発のうち2発を機体から「発射」したが、この2発は機体から離れたものの、故障で推進部(ロケットモーター)に点火されることなく、海へボチャンと落ちたのだ。

2014年4月にはファントム戦闘機が滑走中に赤外線追尾ミサイル「サイドワインダー」1発が滑走路に落下。韓国空軍は「ミサイルは約2.4キロ転がった」と韓国メディアに発表したが、そうした距離を動力なしで「転がる」のは常識的に不可能で、ロケットモーターが作動していた、つまり発射していた可能性が高い。こうした事故のたび軍は「極めて異例」「事故原因を調査し再発を防止する」などと強調してきたが、そんな異例が止まらない。むしろ人命に関わる重大事故が続発してきたのだ。

韓国空軍が保有するなかで最強の戦闘機は米マクダネル・ダグラス社(現ボーイング社)のF-15Kスラムイーグル戦闘攻撃機だが、この1機100億円を超える高額機を海に“落とした”こともある。中央日報などによると2006年6月9日、訓練中だったF-15Kの5号機が海に墜落。夜間迎撃訓練中の事故で、乗員2人が死亡した。

さらに危険だった事案もある。2006年10月4日には、F-15Kが韓国北部上空で訓練中に、2000ポンド爆弾「GBU-24」の演習弾(模擬爆弾)を誤って京畿道抱川市の畑に落とし、破片が民家の屋根を直撃。周辺のビニールハウスも破損した。聯合ニュースなどによると、落下地点には直径6メートル、深さ1メートルの大穴が開いたという。

しかもこの事故は、ただの落下事故ではない。落としたGBU-24はただの爆弾ではなく、レーザー誘導爆弾だった。別名「ペイブウェイIII」と呼ばれるもので、母機が目標にレーザーを照射、爆弾はそのレーザーを頼りに小翼を動かして目標に突っ込むというものだ。

しかし地元のKBSテレビなどによると、この事故では、演習弾は目標から約10キロも離れた場所に落ちたという。米国製の最新鋭戦闘爆撃機、米国製の最新誘導爆弾を使っていても、あさっての方向を爆撃するのでは、地上の国民はたまったものではない。

さらに危ないのは韓国製ヘリコプターだ。

韓国では、1970年代に米国の「500MD」ヘリを大韓航空でライセンス生産し、約260機を生産した。陸軍を中心にミサイルを積むなど軍用に用いられていたが、この韓国製500MDが老朽化で大きな問題となっている。朝鮮日報が2011年に報じたデータでは、生産数の約2割にあたる50機以上が、機械の欠陥などが原因で墜落したというのだ。

2006年秋に行われた陸軍の大規模演習では、多くの外国要人や駐在武官らが見守るなか、500MDの発射した対戦車ミサイル「TOW」のロケットが点火せず、地面にレンガのように落ちるという失態を演じている。

演習中の「ミサイルを落としました」なら、税金云々はともかく安全面では失笑で済むかもしれない。だが、冒頭のP-3CKのように実弾を全て落とすなど危険きわまりない。そんな「レベル」の韓国軍P-3CKが、実は日本の空を飛んでいたのだ。

2016年7月4日午後、韓国海軍の「P-3CK」1機が親善訪問と親善訓練を目的に、海上自衛隊厚木航空基地(神奈川県)に飛来した。海上自衛隊と韓国海軍は2010年から海上哨戒機の作戦部隊間で交流行事を行なっており、2011年には厚木の第3航空隊のP-3Cが韓国を親善訪問したこともあるという。

軍事予算

韓国国防部の年間予算は1990年度に約6兆6千億ウォン、2002年度に約16兆3千億ウォン、2011年度に約31兆4千億ウォンと急増している。2012年度の国防部から企画財政部への概算要求予算は33兆4800億ウォンで前年比6.6%の増額要求である。

予算の拡大に伴って玄武-3巡航ミサイル、天竜巡航ミサイル、玄武-2弾道ミサイルATACMS弾道ミサイル、KGGB GPS誘導滑空爆弾、F-15K戦闘爆撃機世宗大王級駆逐艦独島級揚陸艦K2戦車、新型対空・対地ミサイルなど、各種兵器の開発、導入を積極的に進めている。

また、ストックホルム国際平和研究所の調査によると、韓国は核兵器化学兵器など大量破壊兵器を除く全世界の通常兵器取引で、世界第4位の兵器輸入国である。

職業軍人

階級は幹部職といわれる少尉からスタートし、将軍級の大将までのものと、下級幹部である、副士官(下士官)に大きく分かれる。

徴兵制度

徴兵制志願兵制を併用している。兵役期間は陸軍21月、海軍23月、空軍24月である。基本的に本人の希望によって陸軍・海軍・空軍へと振り分けられるが、本人が特に希望しない場合は自動的に陸軍へ入隊することになっている。徴兵後は二等兵から一等兵上等兵兵長までそれぞれ3か月・7か月・7か月の経過で進級する。全ての男性に21月以上の兵役義務があり、良心的兵役拒否は一切認められていないが、徴兵検査不合格や、その年度の予算不足のため免除や短縮勤務となる者もいる。昔は芸能人や政府関係者、富裕層などがコネなどを行使して兵役を逃れた事があったが、今は厳しく管理され兵役逃れは厳罰に処分されている。2013年夏までは、芸能兵(国防広報支援員)という芸能関係の為の役職があったが、相次ぐ不祥事発覚のため制度廃止になった。また、軍隊の代わりに官公庁に勤務する公益勤務要員制度がある(徴兵検査で現役不合格になった者)。

歴史

韓国軍はアメリカ軍政下1946年に発足した南朝鮮国防警備隊を前身とし、1948年の大韓民国成立により、正式に国軍となった。当時の兵力は微弱なものだったが、1950年に勃発した朝鮮戦争により急激に膨張し、60万人規模に達した。この兵力規模は冷戦体制下の南北対峙の局面で現在まで維持されている。

朝鮮戦争中にダグラス・マッカーサー率いる国連軍(実態は多国籍軍)に、韓国軍の作戦指揮権は委譲された。その後1953年米韓相互防衛条約が結ばれる。1961年5・16軍事クーデター以後は独裁による軍事政権が続き、韓国軍将官や士官出身者は社会のエリートとして政界や経済界で主要な位置を占めた。

ベトナム戦争においては、ROK(Republic of Korea)Armyと呼ばれた韓国軍はアメリカ軍に次ぐ規模の西側派遣外国軍であった。アジア圏における共産主義の拡大に危機感を募らせていた朴正熙政権は、1965年夏、アメリカ軍の軍事援助のもとベトナムへの派兵を決定。兵力は延べ37万名、最盛期には5万の兵力を南ベトナムに展開した。具体的部隊としては陸軍首都師団(猛虎部隊)、第9師団(白馬部隊)、海兵隊第2旅団(青龍部隊)でいずれも韓国軍最強の部隊である。

1978年11月、韓国軍在韓米軍を統合・指揮する軍事機関である米韓連合司令部が設置される。作戦統制権は国連軍から米韓連合司令部が継承することとなる。なお1993年に平時における作戦統制権は、韓国軍へ移管された。

1979年に朴が暗殺されると、軍情報部隊である保安司令官・全斗煥少将が粛軍クーデターによって実権を掌握、1980年には軍部隊を投入して民主化を求める一般市民を虐殺する光州事件を起こした。

新軍部によって軍部独裁は継続したが、1993年金泳三政権が成立すると、軍閥解体が断行され、軍部の政治関与はなくなった。2004年にはアメリカの要請により約3千名のザイトゥーン部隊イラク北部に派遣している。

現状

朝鮮半島は世界で唯一の国連軍の監視下にある地域である。韓国においては、有事の際は米韓連合司令部が戦時作戦統制権を行使して作戦を遂行する。1994年12月までは平時の作戦統制権も米韓連合司令部が掌握していた。

盧泰愚政権時代に、戦時における作戦統制権の移管要求が高まった。アメリカ政府は当初、韓国軍にその能力がないと否定的であったが、反米左派的な盧武鉉大統領(当時)が「自主国防」を掲げて戦時作戦統制権の返還を推進するにつれ積極姿勢に転じ、2006年10月の米韓定例安保協議会(SCM)において、2009年から2012年の間に返還することで合意に達し、2007年2月の米韓防衛首脳会談で2012年4月17日に委譲することで両国が合意した。この移譲について、両国政府はともに問題ないと説明したが、歴代の陸軍参謀総長を含む一部の韓国軍関係者や専門家は国防能力に大きな問題が生じると指摘をしていた。この動きには、盧武鉉政権を筆頭として国民レベルで高まる反米感情や、それに起因したアメリカ軍訓練施設の不足などが影響していると言われた。

韓国政府が2008年に行った韓国陸軍士官学校新入生に対する意識調査では、韓国の敵対国家の第1位はアメリカであるという回答が寄せられ、一般の新兵に対する調査結果では75%が反米感情を表していた。 しかし李明博政権に移行し2度目の北朝鮮の核実験天安沈没事件が相次いで発生すると、米軍主導の防衛体制の維持が必要として、2010年6月の米韓首脳会談で戦時作戦統制権の委譲を2015年12月1日まで延期させることを決定した。2014年10月にはさらに延期することを米韓は合意した。韓国国防相は20年代半ばをめどにするとしている。

これらの事態や対北朝鮮有事を視野に、近年先述の玄武-3巡航ミサイル、天竜巡航ミサイル、玄武-2弾道ミサイル、ATACMS弾道ミサイル、K2戦車、世宗大王級駆逐艦(イージス艦)、F-15K戦闘爆撃機などの比較的最新の装備を譲っている。しかし西側の新しい標準的戦術データ・リンクであるリンク 16に接続できる装備(JTIDSMIDS)を備えているのが世宗大王級とF-15K、早期警戒管制機(AEW&C)、烏山市の中央防空統制所(MCRC)のみであったため、NCW対応について不十分な点が指摘されていた。しかし、韓国国防科学研究所とサンヨン情報通信社により、2011年度に韓国型JTDLS(合同戦術データリンク)NMS(ネットワーク管理システム)の基礎段階が完成し、2012年末に完了する予定となっている。2011年に韓国空軍にAEW&Cの1号機が、2012年に2~4号機が配備されるようになり、徐々に解決しつつある。しかし、稼働率の低さや予算不足による改良のペースの遅さ、空中給油機導入計画の遅延などがネックとなっている。

韓国では、現在、少子化が進んでおり、生産年齢人口は2017年、総人口も2031年より減り始めるため、韓国軍は、2005年に近代化を進めつつ兵員を減らす計画を発表している。2006年時点で68万人だった兵員は、2013年で61万人に削減され、2020年には52万人まで減らす予定である。

対日本政策

第二次世界大戦後の創設当初は旧日本軍満州国軍出身者が幹部のほとんどを占めていた影響により、今なお旧日本軍式の習慣が残存しているという。そのため「ハンチョー(班長)」「巡検(スンゴム)」「昨日(チャクイル)」「内務班(ネムバン)」など、旧日本軍の軍隊用語が韓国軍でもそのまま定着している。

日本は同じ自由主義陣営国であるため、冷戦終了までは友好国として接していたが、一方の韓国では初代大統領李承晩が極度の反日主義者で竹島対馬の領有権を主張し、李承晩ラインを引き、数々の外交問題を引き起こしている。その後日韓基本条約の締結まで日韓の間に正式な外交関係を築けなかった。現在も国民の間の根強い反日感情や竹島(韓国名:独島)問題を反映して韓国軍は日本の自衛隊との衝突を想定した訓練も行っており、韓国軍では日本を仮想敵国として想定しているとする説もある。

自国の艦艇に日本を意識した艦名を命名することが多い。竹島の韓国名である独島強襲揚陸艦に命名したのをはじめ、対馬を侵略した世宗大王、朝鮮出兵に参戦した李舜臣および彼を抜擢した柳成龍任那を征服した広開土王が歴代主力艦に命名されている。さらに伊藤博文を暗殺したテロリスト安重根の名を潜水艦に命名している。実際、2005年10月に韓国政府は韓米定例安保協議会においてアメリカに対し日本を仮想敵国と表現するように要求していたとする説もある(もちろん日本と最重要レベルの同盟関係にあるアメリカ側がこの要求を受けるはずがなく、即時拒否したということになっている)。

韓国空軍は、日本の防空識別圏の直前まで南下し、航空自衛隊によるスクランブル発進の直前で反転する飛行訓練を常に行っている。韓国海軍の艦船は他国の同クラス艦船に比べ近接防御火器システムがかなり充実している。これは対ソ戦を念頭に強化されてきたF-2を初めとする自衛隊の対艦攻撃能力への対抗策ではないかと考えられる。

近年では、射程距離500 km 以上の国産巡航ミサイル「天龍」を軸に、射程距離165-300 km のアメリカ製ミサイルATACMS、射程距離180-300 km の国産玄武I、II、などの地対地ミサイル部隊を新たに統括するミサイル司令部が新設された。また、誤差約5メートル以内の精密さと1,000 km の射程を誇る国産巡航ミサイル玄武IIIBの実戦配備が2004年、2005年から進められており、中国の沿岸部や北京、北海道と東北地方の一部を除く日本全域が射程に収められている。射程1,500 km の玄武IIICも2010年7月に実戦配備されていることが複数の韓国メディアで報じられている。

なお、韓国軍は自国の士官候補生などから学生を選抜し防衛大学校に長期留学生を派遣している。留学生は本科学生と同様の扱いを受けるが、卒業後は日本の幹部候補生学校に行くことはなく、本国に戻ることになる。日本も防衛大学校の学生を1年間留学させるなど交流がある。

竹島問題関連

2005年韓国空軍はF-15K戦闘爆撃機を導入したが、その導入に際して韓国政府は、両国が領有権を争っており、現在韓国側が実効支配している竹島の防衛任務に就かせると発表した。

一方、韓国海軍は、将来的に創設される予定の「大洋艦隊」の旗艦として建造した強襲揚陸艦に、竹島の韓国名である「独島」と名づけた。日本の抗議に対し、韓国政府は「不当な要求には断固とした対処をする」とはねつけた。

潜水艦については、将来的に、日本(16隻が定数だが現在延命させ22隻に増強)より多い18隻を就役させるとし、費用がかかるイージス艦よりも潜水艦によるプレゼンスを重視すると発表した。朝鮮半島周辺海域だけなら18隻体制は過剰であり、日本との有事の際に日本のシーレーンを封じ込めることを念頭に置いた政策と見る軍事専門家もいる。2006年現在、佐世保に比較的近い済州島に新たに海軍基地を建設中であり、「独島艦」と最新鋭潜水艦をそこに集中配備する計画である。

陸軍では、2006年5月に韓国『国防日報』に、ホ・ピョンファン陸軍戦闘発展団長が寄稿文を寄せ、自衛隊の能力を高く評価した上で、竹島守備のために最新兵器を確保する必要性を強調した。必要とされる装備については、低コストで効率の良い非対称的武器体系を構築しなければならないとし、鬱陵島と竹島、日本海沿岸に、自衛隊の監視システムとミサイル魚雷を組み合わせた複合打撃システムを構築すべしとした。

2006年6月22日、盧武鉉大統領は「日本が挑発しても『利益よりも損害のほうが多い』と思わせるくらいの防御力を持つことが重要である。日本との戦闘については政治に任せてほしい」と発言した。

2006年4月21日付のワシントンポストは、盧武鉉政権が、海上保安庁の竹島周辺海域海洋調査を阻止するため、日本政府への具体的な圧力として、『島根県内の防衛庁施設』に対する軍事攻撃を検討していたと報道した。また、同年7月11日に行われたウリ党指導部と統一外交通商委員会所属議員との晩餐会の席上、盧武鉉は「米国は友邦だが、日本とは対決しなければならない。」と発言したと、韓国各紙が報道した。また韓国大統領府がアメリカに対し、日本への核の傘の撤廃、並びに日本を仮想敵国とするように要請し、アメリカ政府が即座に拒否したとも報道されている。だが、こういった日韓関係の緊張を助長しかねない動きに、(特に先述の日本に対する軍事攻撃が実際に行なわれた場合、自衛隊との交戦だけでなく国際問題にも発展し、韓国の国際的信用失墜及び経済制裁等の経済的打撃を受けかねなかっただけに)韓国国内からも憂慮の声が強く上がっている。

2006年9月、韓国政府はアメリカ合衆国政府に対して、無人偵察機RQ-4 グローバルホークの韓国への販売を許可するように求めていることが明らかになった。一度はMTCRの規制を理由に販売を断られたが、現在は両国政府とも売買に向けて、前向きに検討中であることが明らかになっている。韓国政府が進めている「自主防衛」のために必要であるとの趣旨だが、これを報道した9月11日の朝鮮日報によると、無人偵察機導入のあかつきには、北朝鮮や中国以外にも、『日本全土』に対する偵察任務に当てる見込みであることが明記されている。

2007年7月、金成萬(キム・ソンマン)前韓国海軍司令官は、対馬軍事侵攻計画を立案すべきと韓国政府に求める内容の寄稿文を著した。

問題・不正

兵役逃れの問題

近年は徴兵逃れのために国外へ移住したり、国籍出生地主義を採用している国で出産し、二重国籍を取らせて兵役年齢に達すると韓国籍を放棄するという徴兵忌避がある他、政治家の子弟や俳優、スポーツ選手など、軍幹部への働きかけや金銭により徴兵をのがれている者もあり、社会的地位やある種の報奨としての徴兵免除はたびたび社会問題となっている。

軍に入営すると、新聞や雑誌、携帯電話の個人的保有は認められず、外出の自由もなく、現代の若者にとり大きな負担であり、徴兵を嫌悪する者は多い。例えば恋人などがいても、徴兵期間の間にほとんどの交際が消滅するという。また、大部分が徴兵検査後に大学に入学し、それから休学、入隊という形を取っているため、必然的に大卒者の平均年齢が高くなる。

徴兵後に都市部の警察隊への配置となった場合、比較的自由があるが、これは一部の成績優秀者か、コネのある金持ちの子弟のみである。

隊内でのいじめの問題

苛烈ないじめや体罰は、自殺者や徴兵逃れの増加の理由の一つであり、また、韓国では主に男性教員による学校での体罰が問題となっているが、これも軍隊生活で体罰や私的制裁を受けた影響と考えられる。さらに、海外進出した韓国企業での韓国人管理職による部下への暴力が、進出先の国で問題となることがある。

現在、韓国全軍は「過酷行為」と言われる暴力などを部下に行使しないよう、国防部から命令として暴力禁止を掲げており、多少の改善は見られるものの根本的な解決には至っていない。2005年1月には、陸軍の中隊長が便所の水を流していない訓練兵らに立腹し、全員を集めて指を大便につけるよう強要し、それでも誰も自首しなかったため大便つきの指を口に入れるよう命令した「食糞事件」が起こり(被害を受けた訓練兵が友人宛に送った手紙から事件全容が明らかになった)、さらに同年6月19日には北朝鮮とのDMZ非武装地帯)に隣接する最前線警戒所で任務に当たっていたGP(Guard Post)部隊所属の22歳の兵士が、日常的な上官からの言葉の暴力に耐えかね、手榴弾を投げ爆破させた後に大宇K1A自動小銃計1個44発を乱射し、同僚兵士8人を射殺・爆殺(うち5人は就寝中に襲撃され、その後それぞれ兵舎に戻る最中に居合わせた中尉と水を飲んでいた兵士に向かって発砲し即死、1名が病院で死亡した)するという「漣川軍部隊銃乱射事件」(その後の裁判で、この兵士に対して「社会から永遠に隔離せざるを得ない」という理由により死刑判決が下された)などが起こっており、国民に対して不信感を植え付ける結果となった。職業軍人たちは、徴兵制度で来る兵士達が自殺、他殺、自傷、他傷などの軍事事故を起こした場合に懲戒免職される規定があり、軍隊生活は幹部達にとっても過酷である。

ベトナム戦争での問題

詳細は タイビン村虐殺事件 を参照

ベトナム戦争における韓国軍は勇猛と評され、アメリカの新聞にダイハン(韓国軍)の特集が組まれたほどである。また、韓国軍と北ベトナム軍の損害比は36:1であり(アメリカ軍と北ベトナム軍の損害比は12:1)、北ベトナム軍司令官[誰?]が「韓国軍との戦闘は、できるだけ避けるように」と通達したほどであった。また、アメリカ軍と同様に民間人の虐殺を行った(タイビン村虐殺事件フォンニィ・フォンニャットの虐殺ハミの虐殺など)が、その内容は女性や子供を井戸に生きたまま落とし助けを求める声を聞きながら手榴弾を投げこむ、強姦した後生きている女性の胸をえぐる等極めて残虐なものであった。そしてベトナムへ進出した韓国人労働者や兵士とベトナム人女性との間に、混血児『ライダイハン』が約2000人生まれ、韓国軍撤兵後もそのまま現地に残されることとなった。彼らはその出自によってベトナム国内において差別され、一部の児童たちが極貧の生活を余儀なくされている。

これら一連の韓国軍のベトナム戦争中の国際法に反する複数の集団強姦を伴う虐殺行為(ハミの虐殺タイビン村虐殺事件)は、第二次大戦終結後に発生した組織的虐殺の中でも、ユーゴスラビア紛争時の民族浄化行為と共に、村落ごと皆殺しにするなど、その残虐性が際立っており、重大な人権侵害が伴う大規模なジェノサイド行為である。虐殺の発生自体は複数の国際調査機関によって確認されているが、犠牲者数については両国政府の意見が食い違っており、特に虐殺当事者の韓国政府が正式な謝罪及び賠償を拒否している為、現在でも国際NPO団体による現地での聞き取り調査などが実施されており、正確な犠牲者数を認定するための科学的検証が続いている。

防衛装備に関する汚職

2014年から2015年に掛けて韓国軍全体に渡る複数の防衛装備汚職事件が発覚している。2015年7月の防衛事業不正合同団の中間報告段階において、海軍6件、陸軍3件、空軍3件の合わせて12件の汚職について、2人の元海軍参謀総長、元国家報勲処長、現役の予備役将軍10人を含む67人が起訴されている。また時効により起訴はされなかったが、これ以外にも複数の汚職が発覚したという。

例えば、海軍の救助艦「統営」に関する汚職では、納入業者が救助艦用のソナーの代金の41億ウォンを国から受け取りながら、実際には2億ウォン(約2160万円)のマグロ漁船用の魚群探知機を納入したとして問題になった。この際、当時防衛事業庁に所属していた海軍中佐が、魚群探知機を扱う会社の社員から、自社製品を海軍軍艦に採用してほしいと頼まれ、約5億1千万ウォン(5500万円)の賄賂を受け取っていた。また、この中佐は他の業者から統営艦のウインチ納入に関して1億ウォン(1080万円)の賄賂を受け取っていた。

陸軍の野戦用の防寒服に関する汚職では、納品を巡り特定業者に便宜を図ったとして、防衛事業庁の大佐と部長が逮捕された。部長は部下の反対を無視して出身高校の先輩が役員をしている企業と10億ウォン(約1億800万円)の取引をしていた。

2011年には、砲兵部隊用の4GBのUSBメモリー(当時市価1万ウォン=約1080円)を、特定の生産業者から95万ウォン(約10万2600円)の高値で660個も購入していたことも発覚している。

朝鮮戦争時の弱体な兵力

敵前逃亡

朝鮮戦争では、上官と部下が揃って逃げる韓国軍の実態が問題となった。韓国軍は中国軍によって戦線の遙か後方にまで駆逐され、その度にアメリカ軍から供与された高価な装備品を簡単に放棄することを繰り返した。武器を放り出して敵前逃亡するのは韓国軍の常とされ、国連軍を率いたマシュー・リッジウェイ将軍は自伝にその憤りを綴っている。

中国軍もそれを悟り、イギリス軍やトルコ軍、アメリカ軍の担当区域ではなく、常に韓国軍の担当区域を最初に攻撃するようになった。韓国軍はすぐに総崩れになり逃げだすために他に国連軍部隊にも危険が及び、彼らもまた後退を余儀されたとリッジウェイ将軍は語っている。全ての韓国軍を一度前線から撤退させ、再訓練することも検討された。

参考書籍

  • ミリタリーバランス2004-2005

関連項目

外部リンク