国務大臣

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国務大臣(こくむだいじん)とは、内閣を構成する大臣のことを指す。閣僚閣員とも言われる。

資格・身分[編集]

内閣総理大臣と国務大臣は憲法上文民でなければならず、その過半数を国会議員にて構成しなければならない。

日本国憲法第68条において

  • 内閣総理大臣が、任命する。その過半数は国会議員の中から選ばれる。
  • 内閣総理大臣が、任意に罷免する。

と規定されている。

国務大臣の身分国家公務員法第2条第3項において、特別職国家公務員とされる。

任命[編集]

一般的に国務大臣という場合には内閣総理大臣を含めていう時とそうでない時がある。内閣総理大臣は国会の議決により指名され、天皇から任命される(親任式)。

内閣総理大臣以外の国務大臣は内閣総理大臣により任命され、天皇から認証される(認証官任命式)。なお、宮中の親任式及び認証官任命式で授与される「官記」は単に内閣総理大臣又は国務大臣としての任命・認証であり、どの行政事務を担当するかの辞令(例:「総務大臣を命ずる」)は式後に官邸で内閣総理大臣から発令される(これを「補職」・「補職辞令」という)。

外交上の敬称としては交渉国との間で主に大臣閣下という敬称と本官に相当する本大臣という自称で呼び合うこととなっている。また、軍部を所管する大臣はその就退任に栄誉礼を受ける。

権限[編集]

国務大臣はその在任中、内閣総理大臣の同意なくして訴追(※)されない。法律及び政令には国務大臣の署名を必要とするなど様々な制約や特権がある。

現在、内閣はじめ省庁における大臣以下の政治ポストはかつての政務次官副大臣大臣政務官などに再編され、省内における政治任用職も増えたことで、政治主導の流れを強くしつつある状況にある。総理以外の大臣秘書官は定数1名で官庁の外から政治的任用される(通例はその大臣の議員第一秘書などが務めることが多い)。

当該省庁の職員も大臣秘書官と呼ばれるポストに就いて大臣を補佐するが、これは厳密には大臣秘書官事務取扱といい、正規の法定秘書官ではない。大臣以下副大臣・政務官の品位と倫理を維持するため、大臣規範などを定め、汚職の防止や兼職の禁止など自律的な制約を定めている。

国務大臣は両議院での議席の有無に関わらず、議案について発言するために議院に出席をすることが出来る。答弁または説明のために出席を求められた際は出席しなければならない。

※ 首相の同意なしで逮捕された例はある。1948年に栗栖赳夫国務大臣(経済安定本部総務長官兼物価庁長官兼中央経済調査庁長官)が逮捕された時、東京地裁は「訴追は、逮捕・勾留とは関係ない」との判断を下し、逮捕令状を交付した。

一覧[編集]

内閣法では内閣総理大臣を除く国務大臣の数は原則14人とされ、必要であればさらに3人まで任命できることとなっている。

備考[編集]

連署・副署[編集]

  • 内閣総理大臣及び各省大臣(上記一覧の防衛大臣まで)は内閣法上「主任の大臣」と呼ばれ、担当国務に関係する法律、政令を公布する際その末尾に連署・副署することが義務づけられている。
  • 「主任の大臣」以外の大臣(上記一覧の内閣官房長官以下)は、連署・副署をしない。ただし、「主任の大臣」の誰かが外遊等で国内不在となる場合に一時的にその臨時代理を命ぜられることがあり、その際は連署・副署に名を連ねることとなる。

特命事項の担当大臣[編集]

特命担当大臣を併せて参照のこと

  • 複数の省庁に関係するような国政の重要事項については一省庁の所掌とせず、専任の重要事項担当部署(局・対策室など)を省庁より格上の内閣官房か内閣府に設置して、最高責任者である内閣総理大臣の下で総合的に処理する場合がある。
  • 重要事項担当部署の長(局長・対策室長など)は通例官僚であるが、それら局長等と内閣総理大臣との間に総括的な責任者として担当大臣が置かれることがある。重要事項担当部署が内閣府にある場合その担当大臣のことを法律上「特命担当大臣」(官報辞令上は「内閣府特命担当大臣」)と言う。一方、重要事項担当部署が内閣官房にある場合その担当大臣の正式呼称は特に法定されていない。
  • 内閣府特命担当大臣(例:金融担当)も、内閣官房の重要事項担当部署の担当大臣(例:郵政民営化担当)も、一般的にはそれぞれの担当職務を用いて「○○担当大臣」と呼ばれる。
  • なお、例はあまり多くないが、複数省庁にわたる政策事項でありながら内閣官房でも内閣府でもなく一省庁内に「対策室」等を設置し、その総括をその省庁の大臣と別の大臣に命ずる場合(例:個人情報保護担当)があるが、その場合も内閣官房の場合と同様に担当大臣の法定された正式呼称はなく、俗に○○担当大臣と呼称される。

内閣総理大臣臨時代理[編集]

内閣法第9条には、「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う」という規定があり、これによって指定された国務大臣は実際に内閣総理大臣が死亡・病気・海外出張等で不在となったときは「内閣総理大臣臨時代理」の職名で職務を行うこととなっている。

詳しくは内閣総理大臣臨時代理副総理を参照。

他の大臣の臨時代理と事務代理[編集]

  • 各省大臣(=主任の大臣)の外遊時等には、直属の副大臣ではなく、他の大臣(または内閣総理大臣自ら)がその臨時代理を務める(例:総務大臣臨時代理)。この場合の人選の権限は外遊等をする大臣自身にはなく、内閣総理大臣が指定する。
  • 各省大臣以外の「内閣官房長官・国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣」の代理も、やはり直属の副大臣・副長官ではなく他の大臣が務めるが、この場合は「臨時代理」でなく「事務代理」と呼ばれる(例:内閣官房長官事務代理)。ただし、内閣総理大臣自らが代行する場合は「事務代理」でなく「事務取扱」と称することになっている(例:内閣官房長官事務取扱)。
    ※上記「特命事項の担当大臣」の項で言及した担当大臣のうち、内閣官房(まれに省)の重要事項担当大臣については、内閣府特命担当大臣と異なり外遊時等に代理発令がされることはない。厳密には、総理の口頭指示等による一時的代行はあるのかも知れないが、少なくとも辞令のような公に分かる形で官報掲載された例はない。
  • 中央省庁再編により旧・政務次官を格上げして新設された副大臣であるが、直属上司である大臣・長官等の代理には他省庁の大臣が指定される。これは、「国務大臣の代理には他の国務大臣が就く」という内閣法上の原則に基づくもので、閣僚でない副大臣に法令への連署等をする最高権限がないためである。ただし、「内閣の一員たる国務大臣の権限」が必ずしも要請されない行為(例:省庁の代表者として式典で祝辞を述べる等)の場合は、にわか代理大臣でなく、本来の直属副大臣や政務官が代行(参席・代読等)するのが一般的である。
  • 内閣法には第9条に「臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。」、第10条に「臨時に、その主任の大臣の職務を行う。」とあり、一方で内閣府設置法と国家行政組織法には「副大臣(副長官)は・・・職務を代行する。」とある。「行う」と「代行する」という似て非なる文言で区別がなされており、副大臣・副長官の「代行する」権限が「省庁組織の長としての大臣権限」に限られ、より広汎な「主任の国務大臣の権限」までは及ばないと解する根拠の一つとなっている。

大臣と副大臣・大臣政務官等の任命方式・権限の差異[編集]

  • 大臣は、1)内閣総理大臣から任命・天皇から認証される「国務大臣」としての官記(国務大臣に任命する)、2)総理から担当事務を命ぜられる「各省大臣・長官等」としての補職の辞令(例:総務大臣を命ずる、内閣府特命担当大臣を命ずる)、という二段階の任命方式が採られている。閣議においては例えば防衛大臣である国務大臣が司法改革など他省庁の閣議案件について(あくまで理論上ではあるが)深く意見を述べたり、当該他省庁の官僚に「一国務大臣として」何らかの指摘・要求等をすることも可能であり、「国務大臣」としての関与権限は国政全般に及ぶものとされる。実際小泉内閣時の福田官房長官は、口が軽い田中外相頭越しに外務官僚に指示を出したこともある。
  • 一方、副大臣と大臣政務官は、特定の省庁名を冠された官記又は辞令(例:内閣府副大臣に任命する、総務副大臣に任命する、財務大臣政務官に任命する)だけを受ける。副大臣は国務大臣と同様認証官であるため天皇の認証のある官記を受け、大臣政務官はそうでないという違いはあるが、どちらも国務大臣のような国政全般への関与を可能とする権限付与(二段階の辞令)は行われていない。
  • 閣議では、各大臣は各省や特命事項の担当大臣としてだけでなく、広く天下国家を論じる国務大臣の一人として参画する。一方、副大臣会議では、副大臣は各府省の調整代表の高官として参加しており、国政全般を論じたり他府省の副大臣の提出した案件に対して必要以上の関与をすることはできない。
  • 一部に、国務大臣の表記にならって「国務副大臣」のような表記をする向きがあるが、広汎な国務大臣の権限に比べ副大臣の地位・権限が限定的であることと矛盾する。「国務副大臣」の名称はいかなる法令にも存在せず、そのような辞令が発せられたこともない。各府省副大臣の総称は単に「副大臣」とするのが正しく、各種法令でもそのような取扱いがなされている。大臣政務官についても同様で、「国務大臣政務官」とするのは法的には誤りとなる。

倫理規定[編集]

国務大臣等の在任期間中は営利企業の役職員の兼職、公益法人等の諸団体の役職員を兼職することを禁止している(公益法人の報酬のない名誉職等を除く)。なお、報酬のない名誉職等を兼職した場合は、国務大臣にあっては内閣総理大臣に、副大臣等にあってはその上司である国務大臣に、届け出なければならない。

国務大臣等の在任期間中は、株式等の有価証券不動産ゴルフ会員権等の取引を自粛することとする。就任時に保有する株式、転換社債等の有価証券については、信託銀行等に信託することとし、在任期間中に契約の解約及び変更は禁止する。

国務大臣等並びにその配偶者及びその扶養する子の資産を、就任時及び辞任時に公開する。

国務大臣の海外渡航については閣議了解を、国内の出張及び旅行については内閣総理大臣の許可が必要である。副大臣等の出張及び旅行については、その上司である国務大臣の許可、内閣官房長官に事前届け出が必要である。

罷免[編集]

国務大臣の罷免例については罷免を参照のこと。

在職中の死亡[編集]

在職中に死亡した国務大臣
死亡年月日 氏名 内閣 役職 死因
1889年2月12日 森有礼 黒田内閣 文部大臣 他殺
1926年9月13日 早速整爾 第1次若槻内閣 大蔵大臣 病死
1936年2月26日 高橋是清 岡田内閣 大蔵大臣 他殺
1945年8月15日 阿南惟幾 鈴木貫太郎内閣 陸軍大臣 自殺
1973年11月23日 愛知揆一 第2次田中角栄内閣 大蔵大臣 病死
1976年1月15日 仮谷忠男 三木内閣 建設大臣 病死
1987年1月25日 玉置和郎 第3次中曽根内閣 総務庁長官 病死
2007年5月28日 松岡利勝 安倍内閣 農林水産大臣 自殺

※ 内閣総理大臣を除く

国務大臣の権威性とその歴史[編集]

大臣とは古来からの日本固有の高官職名である。明治期に太政大臣左大臣右大臣内大臣准大臣といった大臣職が改められ、内閣制度の発足とともに、内閣構成者としての内閣総理大臣及び国務大臣として新たな大臣の職掌が整備された。明治以降も昭和初期まで内大臣・宮内大臣の職が置かれたが、これは閣外の職位であり、国務大臣には含まれず内大臣府宮内省にあって天皇を補佐する役目であった。

終戦後の昭和30年以降、自由民主党の結党以来、55年体制以降、派閥の論理で大臣が選任されてきた。政治家にとって大臣の職は権威の象徴であり、衆議院議員の場合当選回数5回の議員から派閥の均衡によって調整され、人格や能力もあるが、それ以上に派閥の力学で主に大臣が選抜されてきた。衆議院議員当選回数5回以上に達し、大臣を拝命していない政治家は大臣待望組といわれ、大臣になるために執念を燃やしたり、その地位にとらわれることを俗に大臣病といった。

記録[編集]

  • 最年長在任記録国務大臣 - 高橋是清大蔵大臣 81歳6ヶ月
  • 戦後最年少就任記録国務大臣 - 野田聖子郵政大臣 37歳10ヶ月
  • 最短退任記録国務大臣 - 長谷川峻法務大臣 4日(1988年12月27日 - 1988年12月30日)
  • 通算最短在任記録国務大臣 - 遠藤武彦農林水産大臣 8日間(2007年8月27日 - 2007年9月3日)
  • 女性初の国務大臣 - 中山マサ厚生大臣(1960年7月19日 - 1960年12月8日)

 

関連項目[編集]

Wiktionary
ウィクショナリー国務大臣の項目があります。


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