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[[ロシア帝国]]の時代には、[[1708年]]に[[ピョートル1世]]によってアルファベットが単純化されたのを皮切りに、ロシア語の改革が盛んとなった。18世紀後半には[[ミハイル・ロモノーソフ]]が初めてロシア語の文法書を著し、[[標準語]]の形成に大きく寄与した。19世紀初頭には[[アレクサンドル・プーシキン]]によって近代的な[[文語]]が確立した。また、宮廷は[[西ヨーロッパ|西欧]]諸国を模範として近代化を進めたことから、大量の専門語彙が[[オランダ語]]、[[フランス語]]、[[ドイツ語]]などから取り入れられた。その一方で、当時の上流階級はフランス語を日常的に使用しており<ref>[[#岩間他(1979)|岩間他(1979)]], pp. 260-261.<br>{{cite web|title=第5回 ロシア人と外国語――欧米文化に復帰するロシア人|url=http://www.tmu.co.jp/feature/hakamada05.html|author=[[袴田茂樹]]|publisher=[http://www.tmu.co.jp/ TMU CONSULTING]|page=|accessdate=2012-11-27}}</ref>、19世紀の小説([[レフ・トルストイ]]の『[[戦争と平和]]』など)はフランス語を交えて書かれた作品が多い。
 
[[ロシア帝国]]の時代には、[[1708年]]に[[ピョートル1世]]によってアルファベットが単純化されたのを皮切りに、ロシア語の改革が盛んとなった。18世紀後半には[[ミハイル・ロモノーソフ]]が初めてロシア語の文法書を著し、[[標準語]]の形成に大きく寄与した。19世紀初頭には[[アレクサンドル・プーシキン]]によって近代的な[[文語]]が確立した。また、宮廷は[[西ヨーロッパ|西欧]]諸国を模範として近代化を進めたことから、大量の専門語彙が[[オランダ語]]、[[フランス語]]、[[ドイツ語]]などから取り入れられた。その一方で、当時の上流階級はフランス語を日常的に使用しており<ref>[[#岩間他(1979)|岩間他(1979)]], pp. 260-261.<br>{{cite web|title=第5回 ロシア人と外国語――欧米文化に復帰するロシア人|url=http://www.tmu.co.jp/feature/hakamada05.html|author=[[袴田茂樹]]|publisher=[http://www.tmu.co.jp/ TMU CONSULTING]|page=|accessdate=2012-11-27}}</ref>、19世紀の小説([[レフ・トルストイ]]の『[[戦争と平和]]』など)はフランス語を交えて書かれた作品が多い。
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=== ソ連時代 ===
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[[ソビエト連邦]]ではロシア語が事実上の公用語であったが、公式には[[公用語]]は存在しなかった。[[ウラジーミル・レーニン|レーニン]]が[[オーストリア・マルクス主義|オーストロ・マルキシズム]]や[[カール・カウツキー|カウツキー]]の影響のもと、[[1914年]]の論文『強制的な国家語は必要か?』において[[国語|国家語]]の制定を批判した。また、自身も少数民族[[グルジア人]]の出自を持つ[[ヨシフ・スターリン|スターリン]]も[[民族]]問題の専門家として民族語奨励政策を採用した結果、ソ連は、ロシア語をその崩壊にいたるまで正式な公用語の地位につけることはついになかった(ちなみに、[[オットー・バウアー]]から借用した「形式は民族的、内容は[[社会主義]]的な文化の建設」というスターリンのテーゼはまず言語問題にまつわる[[1925年]]の演説『母語による教育』において現れた)。それゆえ、ロシア語が公的に国家語化したのはロシア連邦成立後である<ref>田中克彦『「スターリン言語学」精読』、岩波書店、2000年、171頁</ref>。
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[[1918年]]には、[[アレクセイ・シャフマトフ]]が準備していたアルファベット改革案が[[ボリシェヴィキ]]によって実行に移され、現在のロシア語の正書法が成立した。ただし、[[Ё]]はこの時点でまだ正式なアルファベットとして認められておらず、正式に組み入れられたのは[[1942年]]のことである。なお、[[1964年]]にも[[ロシア科学アカデミー|ソ連科学アカデミー]]によって正書法の改革案が作られたが、こちらは実施されなかった。
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=== ソ連崩壊後 ===
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[[1991年]]末の[[ソ連崩壊]]で、ソ連を構成していた[[ソビエト連邦構成共和国|各共和国]]はそれぞれ独立し、それまでロシア語との併用という形を採っていたそれぞれの民族語が第一の公用語へと昇格したが、その後の言語状況に関しては様々である。
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[[バルト三国]]と呼ばれる[[エストニア]]・[[ラトビア]]・[[リトアニア]]では、ソ連からの独立以降急速に各民族語([[エストニア語]]・[[ラトビア語]]・[[リトアニア語]])が使用される機会が増えている。もちろんソ連崩壊後20年程しか経過しておらず、またロシア系住民が多い地域などではロシア語が今でも使われるが、ソ連時代と比べるとロシア語はそれほど使われなくなっていると言える。特にこの3カ国が[[2004年]]に[[欧州連合|EU]]に加盟してからは、[[英語]]や[[ドイツ語]]がより広く学ばれるようになっている。ただし、ソ連時代後期にロシア語人口がラトビア語人口を逆転するのではないかと言われたラトビアでは、独立回復後に制定した[[国籍]]法で国籍取得要件にラトビア語の習得を義務付けたという経緯がある。これによって多くのロシア系住民をロシアへ移住させる事に成功したが、国籍を与えられない[[残留ロシア人]]の権利が阻害されているとするロシア政府からの抗議を受け、さらに[[欧州委員会]]からもこの言語規定が市民の平等を定める[[欧州憲法]]に違反しているという指摘を受けた。その結果、ラトビア政府によるロシア語排除策は沈静化している。
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また、ロシア影響圏からの離脱を模索する[[ウクライナ]]や[[ジョージア (国)|ジョージア]]でも、ロシア語ではなく[[ウクライナ語]]や[[グルジア語]]がより広範に使われている。ウクライナでは、西部を中心に従来よりほとんどウクライナ語のみが使用されている地域がある一方で、ウクライナ語とロシア語両方が使われている地域もあり、また東部や[[クリミア半島]]ではロシア語の使用者が大勢である地域もあり、地域によっては将来的にもロシア語は当分使われ続けると推定されている。一方で、都市部を中心に伝統的にウクライナ語とロシア語の混交が起こっていたが、ソ連の崩壊以降、それまでロシア語が優勢であった地域を中心にウクライナ語にロシア語の要素が混じった「[[スールジク]](混血)」と呼ばれる混交言語が広まりを見せている。現在でも、ウクライナ西部を除く広範囲でロシア語は使用、理解されており、ロシア語をウクライナ語に次ぐ第二公用語に加える動きもあるなど、今までのロシア語排除の動きから転換点を迎えようとしている。
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ジョージアもまた長年ロシア語による支配を受けてきた国であった。ジョージア政府はロシア語教育を廃止し、ロシア語読みに基づいた国名である日本語の「グルジア」を英語読みの「ジョージア」に変更することを要請しており(グルジア語名では「サカルトヴェロ」である)が、日本政府も承諾している。また、ロシアに多くのジョージア人が住んでいることなどからロシア語は今でもよく使われている。
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それ以外の地域に関しては、今でもロシア語が幅広く使われ続けている。[[ベラルーシ]]や[[カザフスタン]]・[[キルギス]]・[[ウズベキスタン]]・[[トルクメニスタン]]などでは非ロシア人でもロシア語しか喋れない人も多く、また多民族が入り混じって生活する[[中央アジア]]諸国では、ロシア語が民族を超えた共通語として使われている。[[カフカース]]地域、及び[[モルドバ]]でも、現地人同士の日常会話には現地語が用いられることが増えてきたものの、ロシア語で会話する人々は少なくない。なお、ロシアとの統合に積極的な[[アレクサンドル・ルカシェンコ]]大統領の独裁体制が続くベラルーシでは、[[ベラルーシ語]]とロシア語が公用語に指定されているが、隣国ウクライナとは逆にロシア語使用が奨励され、本来の民族語であるベラルーシ語が軽視される傾向にある。
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[[ポーランド]]や[[ブルガリア]]など旧共産圏諸国では、[[共産主義]]体制ではロシア語が広く学習されていたが、民主化後は英語やドイツ語(歴史的には[[チェコ]]や[[ハンガリー]]など、[[オーストリア帝国]]の支配下にあった国も少なくない)など西欧の言語に押されて、ロシア語学習は下火になった。またバルト三国や東側諸国はハンガリー動乱やプラハの春などでソ連軍による民主化弾圧などがあったために、かつて第一外国語だったロシア語を使う事も拒んでいる者もいる。
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一方、[[ウラジーミル・プーチン]]政権で経済の立て直しに成功したロシアが[[BRICs]]と呼ばれる経済成長地域の一つに加わり、天然資源を核にした諸外国との経済関係が再び拡大すると共に、ロシア語の需要は再び高まりつつある。バルト三国などでもロシア語に対するマイナスイメージもソ連時代を経験していない若い世代を中心に徐々に薄れてきており、ロシア語は[[英語]]や[[ドイツ語]]などと共に、ビジネスなどで必要な言語ととらえる人も増えてきている。また、[[宇宙開発]]においては[[国際宇宙ステーション]]の公用語になるなど、英語と並んで必要不可欠な言語の1つとなっている。
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ロシア国内では急速な[[資本主義]]化や新技術の導入に伴い、今まで存在しなかった概念や用語が大量に導入された。これにロシア語の造語能力が追いつかず、特に英語を中心とした外来語がそのままロシア語に導入される例が多くなっている。
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:例:[[コンピュータ]] - ロシア語では外来語の[[:wikt:компьютер#ロシア語|компьютер]](カンピユーテル)が、スラヴ語的なвычислитель(ヴィチスリーチェリ=数字出力物)よりも頻繁に使用されている。本来のロシア語発音では「イェ」になる「е」が「エ(э)」と発音される点にも、компьютерの外来語的な特徴がよく表れている。
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== 各国におけるロシア語の地位 ==
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=== 公用語 ===
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* [[ロシア]]
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*  [[カザフスタン]](他に[[カザフ語]])
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* [[キルギス|キルギスタン]](他に[[キルギス語]])
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* [[ベラルーシ]](他に[[ベラルーシ語]])
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【事実上独立した地域】
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* [[沿ドニエストル共和国]](他に[[モルドバ語]]、[[ウクライナ語]])
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* [[アブハジア]](他に[[アブハズ語]])
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* [[南オセチア]](他に[[オセット語]])
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【国際機関】
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* UN [[国際連合]](他に[[英語]]、[[フランス語]]、[[中国語]]、[[スペイン語]]、[[アラビア語]])
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*IAEA[[国際原子力機関]]
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* [[国際標準化機構]](他に英語、フランス語)
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* [[上海協力機構]](他に中国語)
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* [[独立国家共同体]](CIS)
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=== 日本 ===
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18世紀には、すでに「[[北槎聞略]]」という書物があり、「[[大黒屋光太夫]]」の口述による、[[キリル文字]]、一部のロシア語の単語、文などの記載も見られる<ref> 桂川甫周『北槎聞略・大黒屋光太夫ロシア漂流記』亀井高孝校訂、岩波書店(岩波文庫)1993年(平成5年)、148~156頁、273~332頁</ref>。本格的なロシア語研究が始まるのは、1804年から1811年にロシア使節からもたらされた公文書の翻訳が必要となった幕府の命により、蘭語通詞の馬場左十郎らが松前藩に幽閉されていた[[ヴァシーリー・ゴロヴニーン]]から学んだのが最初<ref>[http://www.tufs.ac.jp/common/archives/TUFShistory-russian-1.pdf ロシア語の黎明期]渡辺雅司、ロシア語ロシア文学研究15号、1983-09</ref>。
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1960年代までは共産主義を支持する人々を中心に[[ロシアの文化|ロシア文化]]への関心は比較的高かったが、1970年代以降は共産主義の退潮、ブレジネフ体制下でのソ連文化の硬直化などを背景にロシアへの関心は低下した。ソ連崩壊後も、ロシアとの交流は北海道や日本海側の一部の地域を除くと盛んではなく、経済的なつながりも中国や韓国、アメリカ合衆国より薄い。そのため、日本においてロシア語の重要性は低い。英語や中国語、朝鮮語に比べて語学教材も恵まれておらず、改訂も進まない結果、内容がソ連時代のままである教材も少なくない。
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[[海上保安庁]]では第二外国語として中国語・朝鮮語と並びロシア語が学ばれており、[[自衛隊]]でも第二外国語として学ばれているほか、北海道の一部の高校では、地理的に近いということもあり、ロシア語の授業が行われている。さらに[[稚内市|稚内]]や[[根室市|根室]]、[[紋別市|紋別]]や[[新千歳空港]]ではロシア語表記の看板が見られるなど、隣国としてのロシアの姿が実感できる。同様に、[[新潟港|新潟東港]]を通じての対ロ貿易の日本海側拠点である[[新潟市]]でも日本語の他英語とロシア語を併記した看板を見ることができる。新潟市ではこれ以外にも[[ロシア語スピーチコンテスト]]を行うなどしている。
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「[[第二外国語]]」の講座としてロシア語を学ぶことができる大学はあるものの、日本人でロシア語を学ぶ人々は少ない。
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[[日本放送協会|NHK]]の語学番組では[[テレビでロシア語]]、ラジオでは[[まいにちロシア語]]が放送されている。
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=== 旧ソ連圏 ===
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[[ウクライナ]]東部や南部([[クリミア半島]]も含む)ではロシア語が広く使われている。[[ヨーロッパ連合]]加盟国となった[[ラトビア]]、[[エストニア]]、[[リトアニア]]などの旧ソ連諸国でも、公用語にこそなっていないもののロシア系住民を中心に広く使われているがEUの公用語には加わっていない。
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=== イスラエル ===
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{{main|イスラエルにおけるロシア語}}
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[[1999年]]のデータではイスラエルへの旧ソ連からの移民は75万人にのぼり、ロシア語のテレビ・ラジオ放送局もある。イスラエルの公用語は[[ヘブライ語]]、[[アラビア語]]だけだが公用語ではない英語にならび移民の影響でロシア語も広く使われている。
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== 文字 ==
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ロシア語では以下の33個の[[キリル文字]]が用いられている。
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{| class="wikitable" style="text-align:center" border="1" frame="box" rules="all" cellspacing="0" cellpadding="3"
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!大文字
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!音価<br /><span style="font-weight: normal;">([[国際音声記号|IPA]])</span>
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!発音上の注意
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|lang="ru"|е
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|je
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|align=left|「イェ」に近い
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|jo
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|lang="ru"|жэ
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|zhe
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|ジェー
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|align=left|[[そり舌音|そり舌気味]]
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|ze
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|lang="ru"|и
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|i
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|イー
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|i
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|i kratkoje
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|イークラトコエ
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|j
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|align=left|[[半母音]]の[j](短い「イ」)<ref>半母音のй は、主に母音の後ろでのみあらわれ、日本語のヤ、ユ、ヨのように[j]の音の後ろに母音が続く場合はе,ё,ю,я を用いる。</ref>
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|エル
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|r
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|align=left|[[歯茎ふるえ音|巻き舌]]
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|lang="ru"|ха
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|ハー
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|x
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|align=left|[[無声軟口蓋摩擦音|喉の奥から出す「ハ」]]
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|lang="ru"|[[Ц]]
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|lang="ru"|ц
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|lang="ru"|[[Ч]]
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|lang="ru"|ч
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|lang="ru"|че
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|che
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|チェー
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|align=left|「チャ」「チュ」「チョ」
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|シャー
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|align=left|「シャ」「シュ」「ショ」([[後部歯茎音|そり舌気味]]で発音される[s])
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|lang="ru"|[[Щ]]
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|lang="ru"|щ
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|lang="ru"|ща
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|shcha
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|シシャー(シチャー)
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|ɕː
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|align=left|「ッシ」(「[[し|シ]]」の[[無声歯茎硬口蓋摩擦音|子音[ɕ]]] に似ているが、やや長め)
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|lang="ru"|[[Ъ]]
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|lang="ru"|ъ
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|lang="ru"|твёрдый знак
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|tvjordɨj znak
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|トヴョールドゥイズナーク
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| -
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|align=left|[[硬音]]記号、非[[口蓋化]]する<ref name="KONAN">硬音の子音は微妙に「ウ」の音感、軟音の子音は微妙に「イ」の音感を伴う。</ref><ref>硬音記号は、現在では軟母音で始まる単語の前に硬子音で終わる[[接頭辞]]が付加される場合(例: под + ехать → подъехать)にしか用いられない。ただし日本語をロシア語式に音訳する際、[[鼻音]][n]と後続の母音を分けて発音することを明示する必要がある場合など(例:欽一の「き'''んい'''ち」が「き'''に'''ち」にならないようにする)、外国語の表記に用いることがある。</ref>
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|lang="ru"|[[Ы]]
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|lang="ru"|ы
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|lang="ru"|ы
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|ウィー
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|align=left|「ウイ」
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|lang="ru"|[[Ь]]
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|lang="ru"|ь
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|mjakhkij znak
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|ミャーフキーズナーク
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| -
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|align=left|[[軟音]]記号、[[口蓋化]]する<ref name="KONAN" /><ref>軟音記号はそれが伴う直前の子音が軟音であることを現す。</ref>
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|-
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|lang="ru"|[[Э]]
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|lang="ru"|э
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|lang="ru"|э (э оборотное)
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|e
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|エー
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|e
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|align=left|「エ」
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|-
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|lang="ru"|[[Ю]]
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|lang="ru"|ю
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|lang="ru"|ю
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|ju
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|ユー
 +
|ju
 +
|align=left|「ユ」
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|-
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|lang="ru"|[[Я]]
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|lang="ru"|я
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|lang="ru"|я
 +
|ja
 +
|ヤー
 +
|ja
 +
|align=left|「ヤ」
 +
|}
 +
 +
== 脚注 ==
 +
<references/>

2017年4月3日 (月) 01:13時点における最新版

ロシア語(ロシアご、русский язык)は、インド・ヨーロッパ語族スラヴ語派東スラヴ語群に属する言語露語とも略される。ロシア連邦公用語。ロシア連邦の国語表記には、キリル文字を使用する。近縁の言語にウクライナ語ベラルーシ語がある。

概要[編集]

ロシア語はヨーロッパで最も母語話者が多い言語であり、母語話者数では世界で8番目に多く、第二言語の話者数も含めると世界で4番目に多い。国際連合においては、英語フランス語中国語スペイン語アラビア語と並ぶ、6つの公用語の1つである。

歴史[編集]

詳細は ロシア語の歴史 を参照

スラヴ祖語[編集]

詳細は スラヴ祖語 を参照

聖キュリロス(キリル)と聖メトディオス[編集]

詳細は en:Saints Cyril and Methodius を参照

古ロシア語[編集]

詳細は 古東スラヴ語 を参照

ロシア語の起源については諸説あるが、東スラヴ人が使っていた古東スラヴ語10世紀 - 15世紀)から発展したという説が最もよく知られている。13世紀にキエフ大公国が崩壊した後、ルーシの地はモンゴル帝国に支配(タタールのくびき)されており、現代ロシア語にも財政金融に関わる単語を中心に、タタール語などのテュルク諸語モンゴル語の影響が残っている。その後、北東ルーシの辺境(現在のヨーロッパ・ロシア)でモスクワ大公国が成立し、この国の公用語がロシア語として独自に発展していった。

ロシア帝国の時代には、1708年ピョートル1世によってアルファベットが単純化されたのを皮切りに、ロシア語の改革が盛んとなった。18世紀後半にはミハイル・ロモノーソフが初めてロシア語の文法書を著し、標準語の形成に大きく寄与した。19世紀初頭にはアレクサンドル・プーシキンによって近代的な文語が確立した。また、宮廷は西欧諸国を模範として近代化を進めたことから、大量の専門語彙がオランダ語フランス語ドイツ語などから取り入れられた。その一方で、当時の上流階級はフランス語を日常的に使用しており[1]、19世紀の小説(レフ・トルストイの『戦争と平和』など)はフランス語を交えて書かれた作品が多い。

ソ連時代[編集]

ソビエト連邦ではロシア語が事実上の公用語であったが、公式には公用語は存在しなかった。レーニンオーストロ・マルキシズムカウツキーの影響のもと、1914年の論文『強制的な国家語は必要か?』において国家語の制定を批判した。また、自身も少数民族グルジア人の出自を持つスターリン民族問題の専門家として民族語奨励政策を採用した結果、ソ連は、ロシア語をその崩壊にいたるまで正式な公用語の地位につけることはついになかった(ちなみに、オットー・バウアーから借用した「形式は民族的、内容は社会主義的な文化の建設」というスターリンのテーゼはまず言語問題にまつわる1925年の演説『母語による教育』において現れた)。それゆえ、ロシア語が公的に国家語化したのはロシア連邦成立後である[2]

1918年には、アレクセイ・シャフマトフが準備していたアルファベット改革案がボリシェヴィキによって実行に移され、現在のロシア語の正書法が成立した。ただし、Ёはこの時点でまだ正式なアルファベットとして認められておらず、正式に組み入れられたのは1942年のことである。なお、1964年にもソ連科学アカデミーによって正書法の改革案が作られたが、こちらは実施されなかった。

ソ連崩壊後[編集]

1991年末のソ連崩壊で、ソ連を構成していた各共和国はそれぞれ独立し、それまでロシア語との併用という形を採っていたそれぞれの民族語が第一の公用語へと昇格したが、その後の言語状況に関しては様々である。

バルト三国と呼ばれるエストニアラトビアリトアニアでは、ソ連からの独立以降急速に各民族語(エストニア語ラトビア語リトアニア語)が使用される機会が増えている。もちろんソ連崩壊後20年程しか経過しておらず、またロシア系住民が多い地域などではロシア語が今でも使われるが、ソ連時代と比べるとロシア語はそれほど使われなくなっていると言える。特にこの3カ国が2004年EUに加盟してからは、英語ドイツ語がより広く学ばれるようになっている。ただし、ソ連時代後期にロシア語人口がラトビア語人口を逆転するのではないかと言われたラトビアでは、独立回復後に制定した国籍法で国籍取得要件にラトビア語の習得を義務付けたという経緯がある。これによって多くのロシア系住民をロシアへ移住させる事に成功したが、国籍を与えられない残留ロシア人の権利が阻害されているとするロシア政府からの抗議を受け、さらに欧州委員会からもこの言語規定が市民の平等を定める欧州憲法に違反しているという指摘を受けた。その結果、ラトビア政府によるロシア語排除策は沈静化している。

また、ロシア影響圏からの離脱を模索するウクライナジョージアでも、ロシア語ではなくウクライナ語グルジア語がより広範に使われている。ウクライナでは、西部を中心に従来よりほとんどウクライナ語のみが使用されている地域がある一方で、ウクライナ語とロシア語両方が使われている地域もあり、また東部やクリミア半島ではロシア語の使用者が大勢である地域もあり、地域によっては将来的にもロシア語は当分使われ続けると推定されている。一方で、都市部を中心に伝統的にウクライナ語とロシア語の混交が起こっていたが、ソ連の崩壊以降、それまでロシア語が優勢であった地域を中心にウクライナ語にロシア語の要素が混じった「スールジク(混血)」と呼ばれる混交言語が広まりを見せている。現在でも、ウクライナ西部を除く広範囲でロシア語は使用、理解されており、ロシア語をウクライナ語に次ぐ第二公用語に加える動きもあるなど、今までのロシア語排除の動きから転換点を迎えようとしている。

ジョージアもまた長年ロシア語による支配を受けてきた国であった。ジョージア政府はロシア語教育を廃止し、ロシア語読みに基づいた国名である日本語の「グルジア」を英語読みの「ジョージア」に変更することを要請しており(グルジア語名では「サカルトヴェロ」である)が、日本政府も承諾している。また、ロシアに多くのジョージア人が住んでいることなどからロシア語は今でもよく使われている。

それ以外の地域に関しては、今でもロシア語が幅広く使われ続けている。ベラルーシカザフスタンキルギスウズベキスタントルクメニスタンなどでは非ロシア人でもロシア語しか喋れない人も多く、また多民族が入り混じって生活する中央アジア諸国では、ロシア語が民族を超えた共通語として使われている。カフカース地域、及びモルドバでも、現地人同士の日常会話には現地語が用いられることが増えてきたものの、ロシア語で会話する人々は少なくない。なお、ロシアとの統合に積極的なアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の独裁体制が続くベラルーシでは、ベラルーシ語とロシア語が公用語に指定されているが、隣国ウクライナとは逆にロシア語使用が奨励され、本来の民族語であるベラルーシ語が軽視される傾向にある。

ポーランドブルガリアなど旧共産圏諸国では、共産主義体制ではロシア語が広く学習されていたが、民主化後は英語やドイツ語(歴史的にはチェコハンガリーなど、オーストリア帝国の支配下にあった国も少なくない)など西欧の言語に押されて、ロシア語学習は下火になった。またバルト三国や東側諸国はハンガリー動乱やプラハの春などでソ連軍による民主化弾圧などがあったために、かつて第一外国語だったロシア語を使う事も拒んでいる者もいる。

一方、ウラジーミル・プーチン政権で経済の立て直しに成功したロシアがBRICsと呼ばれる経済成長地域の一つに加わり、天然資源を核にした諸外国との経済関係が再び拡大すると共に、ロシア語の需要は再び高まりつつある。バルト三国などでもロシア語に対するマイナスイメージもソ連時代を経験していない若い世代を中心に徐々に薄れてきており、ロシア語は英語ドイツ語などと共に、ビジネスなどで必要な言語ととらえる人も増えてきている。また、宇宙開発においては国際宇宙ステーションの公用語になるなど、英語と並んで必要不可欠な言語の1つとなっている。

ロシア国内では急速な資本主義化や新技術の導入に伴い、今まで存在しなかった概念や用語が大量に導入された。これにロシア語の造語能力が追いつかず、特に英語を中心とした外来語がそのままロシア語に導入される例が多くなっている。

例:コンピュータ - ロシア語では外来語のкомпьютер(カンピユーテル)が、スラヴ語的なвычислитель(ヴィチスリーチェリ=数字出力物)よりも頻繁に使用されている。本来のロシア語発音では「イェ」になる「е」が「エ(э)」と発音される点にも、компьютерの外来語的な特徴がよく表れている。


各国におけるロシア語の地位[編集]

公用語[編集]

【事実上独立した地域】

【国際機関】

日本[編集]

18世紀には、すでに「北槎聞略」という書物があり、「大黒屋光太夫」の口述による、キリル文字、一部のロシア語の単語、文などの記載も見られる[3]。本格的なロシア語研究が始まるのは、1804年から1811年にロシア使節からもたらされた公文書の翻訳が必要となった幕府の命により、蘭語通詞の馬場左十郎らが松前藩に幽閉されていたヴァシーリー・ゴロヴニーンから学んだのが最初[4]

1960年代までは共産主義を支持する人々を中心にロシア文化への関心は比較的高かったが、1970年代以降は共産主義の退潮、ブレジネフ体制下でのソ連文化の硬直化などを背景にロシアへの関心は低下した。ソ連崩壊後も、ロシアとの交流は北海道や日本海側の一部の地域を除くと盛んではなく、経済的なつながりも中国や韓国、アメリカ合衆国より薄い。そのため、日本においてロシア語の重要性は低い。英語や中国語、朝鮮語に比べて語学教材も恵まれておらず、改訂も進まない結果、内容がソ連時代のままである教材も少なくない。 海上保安庁では第二外国語として中国語・朝鮮語と並びロシア語が学ばれており、自衛隊でも第二外国語として学ばれているほか、北海道の一部の高校では、地理的に近いということもあり、ロシア語の授業が行われている。さらに稚内根室紋別新千歳空港ではロシア語表記の看板が見られるなど、隣国としてのロシアの姿が実感できる。同様に、新潟東港を通じての対ロ貿易の日本海側拠点である新潟市でも日本語の他英語とロシア語を併記した看板を見ることができる。新潟市ではこれ以外にもロシア語スピーチコンテストを行うなどしている。 「第二外国語」の講座としてロシア語を学ぶことができる大学はあるものの、日本人でロシア語を学ぶ人々は少ない。 NHKの語学番組ではテレビでロシア語、ラジオではまいにちロシア語が放送されている。

旧ソ連圏[編集]

ウクライナ東部や南部(クリミア半島も含む)ではロシア語が広く使われている。ヨーロッパ連合加盟国となったラトビアエストニアリトアニアなどの旧ソ連諸国でも、公用語にこそなっていないもののロシア系住民を中心に広く使われているがEUの公用語には加わっていない。

イスラエル[編集]

詳細は イスラエルにおけるロシア語 を参照

1999年のデータではイスラエルへの旧ソ連からの移民は75万人にのぼり、ロシア語のテレビ・ラジオ放送局もある。イスラエルの公用語はヘブライ語アラビア語だけだが公用語ではない英語にならび移民の影響でロシア語も広く使われている。

文字[編集]

ロシア語では以下の33個のキリル文字が用いられている。

大文字 小文字 文字の名称
(ロシア語)
文字の名称
(ラテン文字転写)
文字の名称
(読み)
音価
(IPA)
発音上の注意
А а а a アー a
Б б бэ be ベー b
В в вэ ve ヴェー v
Г г гэ ge ゲー g
Д д дэ de デー d
Е е е je イェー je 「イェ」に近い
Ё ё ё jo ヨー jo 「ヨ」に近い
Ж ж жэ zhe ジェー ʐ そり舌気味
З з зэ ze ゼー z
И и и i イー i
Й й и краткое i kratkoje イークラトコエ j 半母音の[j](短い「イ」)[5]
К к ка ka カー k
Л л эль (или эл) el, elj エル l
М м эм em エム m
Н н эн en エン n
О о о o オー o
П п пэ pe ペー p
Р р эр er エル r 巻き舌
С с эс es エス s
Т т тэ te テー t
У у у u ウー u
Ф ф эф ef エフ f
Х х ха kha ハー x 喉の奥から出す「ハ」
Ц ц цэ tse ツェー ʦ 「ツァ」「ツ」「ツォ」
Ч ч че che チェー ʨ 「チャ」「チュ」「チョ」
Ш ш ша sha シャー ʂ 「シャ」「シュ」「ショ」(そり舌気味で発音される[s])
Щ щ ща shcha シシャー(シチャー) ɕː 「ッシ」(「」の子音[ɕ] に似ているが、やや長め)
Ъ ъ твёрдый знак tvjordɨj znak トヴョールドゥイズナーク - 硬音記号、非口蓋化する[6][7]
Ы ы ы ɨ ウィー ɨ 「ウイ」
Ь ь мягкий знак mjakhkij znak ミャーフキーズナーク - 軟音記号、口蓋化する[6][8]
Э э э (э оборотное) e エー e 「エ」
Ю ю ю ju ユー ju 「ユ」
Я я я ja ヤー ja 「ヤ」

脚注[編集]

  1. 岩間他(1979), pp. 260-261.
    袴田茂樹 () 袴田茂樹 第5回 ロシア人と外国語――欧米文化に復帰するロシア人 TMU CONSULTING [ arch. ] 2012-11-27
  2. 田中克彦『「スターリン言語学」精読』、岩波書店、2000年、171頁
  3. 桂川甫周『北槎聞略・大黒屋光太夫ロシア漂流記』亀井高孝校訂、岩波書店(岩波文庫)1993年(平成5年)、148~156頁、273~332頁
  4. ロシア語の黎明期渡辺雅司、ロシア語ロシア文学研究15号、1983-09
  5. 半母音のй は、主に母音の後ろでのみあらわれ、日本語のヤ、ユ、ヨのように[j]の音の後ろに母音が続く場合はе,ё,ю,я を用いる。
  6. 6.0 6.1 硬音の子音は微妙に「ウ」の音感、軟音の子音は微妙に「イ」の音感を伴う。
  7. 硬音記号は、現在では軟母音で始まる単語の前に硬子音で終わる接頭辞が付加される場合(例: под + ехать → подъехать)にしか用いられない。ただし日本語をロシア語式に音訳する際、鼻音[n]と後続の母音を分けて発音することを明示する必要がある場合など(例:欽一の「きんいち」が「きち」にならないようにする)、外国語の表記に用いることがある。
  8. 軟音記号はそれが伴う直前の子音が軟音であることを現す。