ポケットモンスター 金・銀

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ポケットモンスター 金・銀』は1999年11月21日に任天堂より発売されたゲームボーイ用ゲームソフト。ジャンルはRPG

ポケットモンスターシリーズ本編の第2作目であり、マイナーチェンジ版である『ポケットモンスター クリスタルバージョン』もこの項で扱う。

ポケットモンスター 金・銀

概要

ジョウト地方を舞台にしたポケモントレーナーの冒険と闘いを扱った物語。前作『赤・緑・青・ピカチュウ』から3年後の設定となっており、前作と関連したエピソードも多く語られる。

ポケモンの種類が大幅に増え、計251種類となった(幻のポケモンを含む)、また技も増えている。パッケージのポケモンは『金』がホウオウで『銀』がルギア。最初に選ぶ3匹のポケモンはチコリータヒノアラシワニノコであり、幻のポケモンはセレビィ。本作に登場するポケモンのリストはジョウト順のポケモン一覧を参照。

主人公の部屋にゲーム機は無いが、後述の「ふしぎなおくりもの」によって手に入るファミリーコンピュータスーパーファミコンNINTENDO64・さらにはバーチャルボーイを任意で置くことが可能。また、主人公の母親が観ている番組は宮沢賢治原作の「銀河鉄道の夜」だと推測される。

博士やライバルといったシリーズ定番のキャラも個性的で、多少頼りなさげな若い博士とポケモンを盗むという非行少年的アウトローなライバルが主人公の冒険を盛り上げる。

本作はジョウトとカントーの、2つの地方を相互的に行き来できる。シリーズ中2つの地方を舞台にしているのは本作だけである。 このためバッジの合計数が16個と多く、ストーリー展開もあらゆるバージョンの中で最も長い。すべてクリアしたときの満足感はシリーズの中では随一といわれている。この満足感からシリーズ最高傑作とまで言う人も数多く存在する。

前作(『赤・緑・青・ピカチュウ』)と通信して、ポケモンを「交換」することも可能である(バグ技などを使用した不正なデータは受け付けないようになっている)。旧作から新作へと一方的なデータコンバートを行うゲームは多いが、相互に通信可能なものは珍しい。それだけにデバッグに時間がかかり、開発が遅れた原因の一つであったとされる。また、本作は後に発売するゲームボーイアドバンス版やニンテンドーDS版のポケモンにも多大な影響を与えるシステムの基礎を作り上げ、この作品でポケモンの操作システムは一通りの完成を見たと言える。

『金・銀』のポケモンはそれぞれ(一部を除き)グラフィック・図鑑の説明が異なる。グラフィックの傾向としては『金』は公式イラストに準じたものが多く、『銀』は独自のポーズをとっているものが多い。図鑑の説明が異なる点はその後のシリーズにも継続されるが、同時発売の2作でグラフィックが異なっていたのは本作のみである。

主な新システム

  • 大部分のポケモンに「性別」の要素が加わった。♂と♀を一緒に「育て屋」に預けると「タマゴ」が手に入ることもある。
  • 新タイプに「あく」「はがね」が追加される。「あく」は強力なポケモンが多い「エスパー」に強く、「はがね」は弱点が少ないメリットがあり、勢力図を大きく変え、タイプ間の相性も若干修正された。また、一部の技の威力や命中率なども若干修正された。
  • ポケモンに1つだけ道具を持たせることができる。これにより対戦の戦略性が増した。
  • カートリッジに時計が内蔵され、現実と連動した時間や曜日の概念が存在する。特定の時間帯や曜日にしか出現しないポケモンがいたり、発生しないイベントがある。
    • (時計の電池はバッテリーバックアップと共用なので、電池が切れるとデータも消えるので注意が必要)
    • →1世代後の『ルビー・サファイア・エメラルド』では、きのみの成長や一部のポケモンの進化に影響を与える程度でプレイ中に意識することは少ない。
    • →2世代後の『ダイヤモンド・パール』で、ハードの時計機能を利用して再現される。これはルビー・サファイア・エメラルドより金・銀・クリスタルに近いシステムになった。
  • 1日1個ずつ「きのみ」が採れる。ポケモンに回復アイテムとして持たせたり、特殊なモンスターボールの材料となる。
  • ゲームボーイカラーの赤外線ポートを利用した手軽な通信「ふしぎなおくりもの」ができる。歩数計ゲーム『ポケットピカチュウカラー』とも連動。なお、赤外線通信は次世代ハードに引き継がれなかったこともありシリーズ通して本作のみに使われている。
  • ポケルスと呼ばれるボーナス要素として扱われる状態変化の導入。これも、金銀クリスタルから、全作品に使われている。
  • 勝負を挑んでくるトレーナーの名前が、前作の「肩書き」のみではなく「肩書き+名前」で表示されようになった。

ポケットモンスター クリスタルバージョン

概要

『金・銀』のマイナーチェンジ版で、モバイルシステムGBの戦略商品として発売された。第一世代や『金・銀』とも通信可能であるが、ゲームボーイカラー専用となったので、このソフトを利用する側はゲームボーイカラー(もしくは後に発売されるゲームボーイアドバンス)を利用しなくてはなくてはならない。ポケモンの覚える技などが一部変更されていたり、野生ポケモンの分布も大きく変更された。例として、夜間は水上以外の場所にみずタイプのポケモンが多く出現するようになった。カートリッジは半透明の水色となっており、基板の裏にはクリスタル模様の印刷がなされている。

基本的なストーリーは『金・銀』と同様だが、パッケージを飾る伝説のポケモン・スイクンを巡る物語とその他サブイベントが新たに追加される。その他に、シリーズで初めて主人公に女の子を選ぶことができるようになり、バトル画面で(相手トレーナーがポケモンをボールから出した時や、野生ポケモンとのエンカウント時などに)ポケモンに動作が加わり、随所において『金・銀』からの変更が加わっている。またイトマルニューラヘルガーライコウなど、『金・銀』ではゲーム中のグラフィックと公式イラストとで色・デザインが異なっていたポケモンのグラフィックが公式イラスト準拠となった。

モバイルアダプタGBと携帯電話を接続して専用サーバ(注:現在は既にサービスを終了)にアクセスすると、ポケモン交換の仲介機能を利用できたり、全国のポケモンバトルトーナメントの優勝決定戦などのハイレベルなバトルの再現データや、月刊の「ポケモンニュース」などのデータをダウンロードできた。「バトルタワー」の敵データに至ってはプレイヤー側からアップロードすることもできた。さらに期間限定で「ジーエスボール」というアイテムが貰えることにより、幻のポケモンセレビィをゲットする機会を得られた。このようなネットワークサービスは2世代後の『ダイヤモンド・パール』にも採用されているが、それまではポケモンシリーズ中でも本作が唯一であった。知り合いとのポケモン交換・通信対戦はサーバを介さないため、現在でも利用が可能。

地名一覧

ジョウト地方

このシリーズのマップの原型は日本の「近畿地方」および「甲信越,北陸をのぞく中部地方」(三重県,岐阜県)。 ゲーム中のキャラにも「コガネジムリーダーのアカネ」や「まいこはん」など関西弁(アニメ版を踏襲すると「コガネ弁」)で話す人が出てくる。また、五重塔を模した建物が出てきたりもする。これにより、このゲームでマサキの故郷がこの地方にあることから「何故マサキは関西弁なのか」という謎が解明される。

ワカバタウン
物語のスタート地点。主人公の家とウツギ博士の研究所がある。モデルは津市だと思われるが、開発中の仮名は「サイレントヒルズ」であることから元は静岡県静岡市(サイレント=静、ヒルズ=岡)にする予定であったと考えられる。
ヨシノシティ
ワカバタウンの西にある町。 モデルは四日市市伊賀市と思われる。
キキョウシティ
ジョウト地方の中部にある町。トレーナー修行の場所である、マダツボミの塔がある。モデルは奈良県奈良市だと思われる。
ヒワダタウン
ジョウト地方の南部にある田舎町。モンスターボール職人のガンテツが住む。モデルは和歌山県だと思われる。
コガネシティ
ジョウトの中央にある大都会。百貨店やラジオ塔(通天閣だと思われる)などの施設がある。カントー地方のヤマブキシティまでリニアが走っている。モデルは大阪府大阪市で、リニアは東海道新幹線と思われる。北の「しぜんこうえん」は万博記念公園と思われる。
エンジュシティ
コガネシティやキキョウシティの北にある歴史の古い町。古い伝説の残る焼けた塔やスズの塔がある。モデルは京都府京都市で、郊外にあるスリバチ山は比叡山だと思われる。開発中の仮名は「オールドシティ」。
アサギシティ
ジョウト地方の西にある、灯台で有名な港町。モデルは兵庫県神戸市と思われる。
タンバシティ
アサギシティから海をわたった島にある町。モデルは淡路島だと思われる。
チョウジタウン
エンジュから東に進んだ山間部にある町。忍者の里と呼ばれる。「いかりまんじゅう」という饅頭が名物。モデルは滋賀県大津市でいかりのみずうみは琵琶湖だと思われる。
フスベシティ
チョウジの東、「こおりのぬけみち」を抜けた先にある山の町。ドラゴン使いの修行の場、「りゅうのあな」がある。モデルは岐阜市と思われる。

ダンジョン

カントー、ジョウトとふたつの地方両方を旅するバージョンのため、前作に比べ出現ポケモンのレベルが下げられ、ダンジョン自体も狭くなっている場所が多い。前作の舞台であるカントーは特に顕著で、トキワのもりなどフィールドと一体化されたり、オツキミやま等フロアが非常にシンプルになった場所も存在する。

マダツボミのとう
坊主たちが修行する、三重塔。ここに登場するトレーナーは、マダツボミを多用する。夜にはゴースが出現する様になる。
つながりのどうくつ
様々な場所につながっている洞窟。地上階を通り抜けるのはとても簡単だが地下は複雑である。毎週金曜、ここの地下に、珍しいポケモンであるラプラスが登場する。自転車で走行していてもズバットやイシツブテが頻繁に出現する。モデルは和歌山平野かも知れない。
くらやみのほらあな
中はとても暗く、明かりをつけないと何も見えない洞窟。稀にソーナンスノコッチといった、希少なポケモンが出現する。モデルは志摩スペイン村周辺かも知れない。
アルフのいせき
26種類のアンノーンが生息する遺跡。遺跡の中の4箇所に石版のパズルがあり、これを解くと出現するアンノーンの種類が増えるしくみになっている。クリスタル版ではパズル部屋の壁に謎のアンノーン文字が書かれており、これをヒントにそれぞれある行動を起こすとサブイベントが発生する。モデルはキトラ古墳高松塚古墳などの、明日香村の古墳群であると思われる。
ヤドンのいど
ヒワダタウンにたくさんいるヤドンたちのすみか。ロケット団が侵入し、しっぽをヤドンから切り取り、高く売りさばこうとしている。
ウバメのもり
昼間でも夜と間違えてしまうほど、木がうっそうと生い茂った森。戦いを挑んでくるトレーナーすら1人もいない(ただしクリスタル版では話しかけたときバトルになるトレーナーが1人だけいる)。この森には神様がいる、あるいは護り神がいるという伝説があり。ルギアに銀の葉っぱ、ホウオウに金の葉っぱを持たせ、育てやに預けると、この森の祠にセレビィの卵が置かれる、と言うデマが流れた。
しぜんこうえん
緑豊かな公園で、週三回、虫取り大会が開かれる。一部の柵に穴が開いている。上述の通り、モデルは万博記念公園と思われる。
やけたとう
昔は「カネのとう」という高い塔だったらしいが、火事にあって今は1階部分と地下しか残っていない。炎ポケモンのすみかである。また、伝説のポケモンであるエンテイライコウスイクンも棲んでいる(出会った瞬間逃走してしまう)。金・銀ではマップ上で三重塔のように描かれているが、クリスタルではグラフィックが変更され、2階以降が焼失したことが外からも見て取れるようになった。さらにクリスタルにおいては避けて通れないイベントが発生するようになった。
スリバチやま
内部の洞窟には、雄大な滝と巨大な迷路が展開される、大きな山。最深部では「カラテだいおう」と呼ばれる人が修行しており、彼から珍しいポケモン・バルキーを受け取れる。上述の通り、モデルは比叡山であると思われる。
ロケットだんのアジト
チョウジタウンの土産屋の地下に広がる、3層構造のアジト。侵入者に対する監視システムや、パスワードシステムが導入されており、団員を倒してパスワードを聞き出さないと扉が開かない。面倒臭い地点の1つである。
ラジオとう
コガネシティにある、5階建てのラジオの放送局。「ラジオ回線でポケモンを無理矢理進化させる電波を流す」という計画の為、彼らに占拠される。ロケット団の幹部が多数登場し、クリアするためには地下通路やデパートなど、様々な施設をまわらないといけないようになっている。モデルは通天閣であると思われる。
こおりのぬけみち
フスベシティにつながる、凍りついた洞窟。滑る床や、押せる岩などの仕掛けが行く手を阻む。氷タイプのポケモンが多数現れる。クリスタルでは壁などが氷に描き換えられてより寒々とした洞窟となった。モデルは日本アルプスかも知れない。
りゅうのあな
フスベスティのドラゴンタイプのポケモン使いのトレーナーが修行する洞窟。主人公は、アイテム「りゅうのキバ」をとるためにこの洞窟に入る。金・銀バージョンでは、奥まで一本道の穴だが、クリスタルバージョンでは、ドラゴン系ポケモン使いのトレーナーとのバトルや、長老からの珍しいポケモンのプレゼントなど、イベントが増えている。モデルは飛騨山脈かも知れない。
チャンピオンロード
ポケモンリーグに挑戦するなら、避けては通れない最終関門。ただし、今作でのチャンピオンロードは、他の作品のに比べて大幅に単純であり、中には仕掛けも無ければポケモントレーナーもいない。前作の面影をわずかに残すのみである。こちらのモデルは前作とは異なり、高山市飛騨市かも知れない。
スズのとう
伝説のポケモン・ホウオウが棲む、9階建ての塔。一方通行の段差や、ワープパネルが立ちはだかる。伝説のポケモンが登場するダンジョンなので、難易度はやや高め。さらにクリスタル版では2階より上へ進むために一定の条件をクリアする必要があるため(ライコウ、エンテイ、スイクンの三体を捕獲していなければならない)さらにハードルが高くなっている。
うずまきじま
伝説のポケモン・ルギアが棲む、渦潮に囲まれた島々。複数の小島で構成されている。島の内部の洞窟には広大な迷宮が広がり水ポケモンのすみかになっている。洞窟の4つの入り口のうち、1つしか奥に進めるのはなく、さらに一歩道を間違うと他の入り口に逆戻りする仕掛けになっているので、ルギアに会うのはかなり難しい。モデルは渦潮で有名な鳴門海峡であると思われる。
シロガネやま
ジョウト、カントーのバッジを16個全部集めると行ける、最難関ステージ。ここには、貴重なポケモン・ヨーギラスムウマが登場する。また、頂上では、今作の最強のトレーナーであるレッド(前作の主人公)が勝負を挑んでくる。レッドのポケモンのレベルは、最強のジムリーダーであるグリーンのポケモンよりさらに20以上高い。モデルは富士山だと思われる。

その他

  • 本作は前作の発売から間もない1996年の春に『ポケットモンスター2』として発表され、当初発売日は1998年の春とされていた。しかし開発が大幅に遅れ、当初に公開されたスクリーンショットと実際のゲーム画面とはかなり異なる。1997年夏の公式イベントで体験版(前述のスクリーンショットとほぼ共通で、製品版との差違が大きい)が出展されてから2年近く、新情報が全くと言っていい程公開されない期間があったため、一部ではお蔵入り説まで囁かれていた。そのためか、1998年コロコロコミックに『ピカチュウ』版の紹介記事と共に載せられた発売延期のお詫び文には、「『金・銀』は本当に発売します」と記載される。結果として発売されたのはさらにその1年以上後、『赤・緑』の発売から3年半以上が経過した時期であったが、それが本作の「前作の3年後の物語」という舞台設定とリンクし、リアルタイムで遊んでいた、即ち待ち続けていたプレイヤーにとって感慨深いものとなった。
  • レアアイテムながら効果が薄かったり、あるいは何の効果もないものが多い。森にあるほこらや滝にある建物など、意味ありげだが実は何もないオブジェクトも多く(ただしクリスタル版では追加されたイベントがある)、無責任なデマ情報の温床となったこともある。しかし、中にはアイテムコンプリートを目指すものも多く、小中学生世代にやり込みという概念を植えつけた功績は大きい。 低確率でしか入手できないものはもとより、前作を始めとした他のソフトとの連動を駆使しなければ揃えられないなど、ポケモンのコンプリートより敷居は高いと言える。
  • 『ファイアレッド・リーフグリーン』同様に、ファンの間では本作のリメイクが待ち望まれている。これは『金・銀』の伝説のポケモンであるルギア、ホウホウはゲーム上ではゲットできなかったり、スイクン、エンテイ、ライコウは最初のポケモンにより一体の登場であったり、ウツギ博士からもらえる最初の三匹は1ソフトにつき一体のみとGBA・DS版で手に入れるのに難しいことや、既にバックアップ電池が切れたカートリッジが増えてきたことが主な理由である。『ファイアレッド・リーフグリーン』及び『ダイヤモンド・パール』での一部の描写がリメイクの布石では、と予測するファンもいるが現時点では公式発表は無い。
  • 本作で流れる一部の曲が、『ファイアレッド・リーフグリーン』において「ナナシマ」の曲としてリメイクしている。
  • シリーズ本編では唯一、サウンドトラックCDが発売されなかった。リメイクとともにこれを待ち望むファンの声も多い。
  • 今作品では、前作とは違いバグが少なくなったが、長期間使用しないでいると、データが初期化してしまう場合がある。
  • シリーズ中、最も単純な作品でもある。評価はあまり良いとはいえない。
  • 「ゲームとしてのの精度が著しく悪い」という、使用者も存在する。
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