ジャック・バルバロッサ・バンコラン

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ジャック・バルバロッサ・バンコラン(Jack Barbarossa Bancoran)は、漫画『パタリロ!』に登場する架空の人物である。

フルネームはジャック・バルバロッサ・バンコラン(Jack Barbarossa Bancoran)だが、借金返済の代わりに愛人に自分を売った浪費家のにつけられたミドルネームを嫌い、普段はジャック・バンコランとのみ名乗っている。

声優

曽我部和恭
パタリロ!』。
旧名の曽我部和行名義。
子安武人
『パタリロ西遊記!』。

人物

イギリス情報局秘密情報部(MI6)所属の凄腕エージェント。階級は「少佐」であるが、陸海空軍の別は不明。殺人許可証(形のない身分ではない。証明書を提示して見せた事がある)を保持する人物(いわゆるダブルオー(OO)要員)である。誕生日は12月25日、年齢は27歳。

一時、「霧のロンドンエアポート」という呼び出し符号を持ち、テレビや電報などで呼び出されていたことがあった。

来歴

幼少時はパタリロ並に冗談を飛ばしたり、他人をおちょくるのが趣味だったが、とある事件以降はあまり笑顔を見せなくなった。その後借金のかたに男に肉体を売るという経験をし、家を飛び出して軍のカール・グローブナー将軍に拾われ、冷徹な諜報部員へと形作られてゆく。息子のフィガロが生まれてのちは親バカぶりを披露している。

諜報員として駆け出しの頃、MI6の先輩で恋人でもあったデミアン・ナイトが共産圏への潜入任務に失敗し、重度の薬物中毒の状態で英国に送還されて来たことがあり、それが原因で麻薬覚醒剤に対して激しい憎悪の念を燃やしている。そのためこれらが絡んだ事件になると感情が先立ち、冷静な判断ができなくなる事が多い。

彼は一度死に掛けたことがあり、その際恨みを晴らすため死神同伴でマリネラの宮殿に行きパタリロを殺そうとする。後にマライヒが来てさらに騒動が大きくなったりするが、結局パタリロが死神を説得し、バンコランと自分の命を救うことになった。数日後、そのことが原因で発生した騒動によりパタリロは魔界に行くことになってしまう。

パタリロとの因縁

パタリロ・ド・マリネール8世とは、彼の皇子時代に警備(自身は身辺警護を担当)を引き受けて以来の腐れ縁。

イギリス海軍提督だった彼の先祖がマリネラを属国化しようとしたが、パタリロ7世と偶然その時代にタイムスリップしたパタリロ8世に(8世が20世紀から持ち込んだ科学技術とディベートによって)逆襲され、仕方なく撤退した。子孫である彼も日常的に様々なギャグといたずらによってパタリロにからかわられており、先祖の因縁を知ってか知らずか、スポンサーであるはずのパタリロを何かにつけて殴り倒す。しかしマライヒ曰く「なんだかんだ言っても良いコンビ」である。

23世紀には子孫がマスター・ウォンと名乗り、「眼力」を使って世界統一政府評議会を乗っ取り、眼力の通用しないパタリロ10世を試作タイムマシンで20世紀に追放した。しかし、パタリロ10世がパタリロ8世とともに戻ってきて、やはりやっつけられている。

なお、バンコランの一族の持つ「眼力」が唯一効かない一族が、パタリロの一族であることから、「眼力」を自然界上で阻止する一種の抑止力ともとれる。

性格・容姿

長い黒髪に、アイシャドウ(化粧ではなく天然である)が特徴の美青年である。 自分の特異な形状の指紋(花状 なおこのような形状のものは実在しない)を恥じているため、それを隠すためにいつも皮手袋を着用している。

性格は沈着冷静だが激情家でもあり、悪人や犯罪者には容赦しない。かなりの現実主義者で、心霊・悪魔・魔術・超能力などの類はまったく信じないが、現実主義者であるがゆえ、実際に不可思議な事態に遭遇してもその原因が超常的なものであると信じないまでも冷静に対処が可能である。また、毒舌家でもある。

「美少年キラー」の異名を持つ同性愛を好むプレイボーイであり、仕事ができる上、顔も良いので女性にももてるが、女性には恋愛感情を抱かないため眼中にない…と言うより恐怖心を持っている(『バンコランの病気』では、パタリロの策略で2人の少女とベッドを共にしたが、いずれも事に及ぶ前に悲鳴を上げて逃げ出している)。ただし、パタリロの母エトランジュには初対面から少なからず心を動かされたようである。知り合った美少年達と次々に床を共にしており、特に、過去に自分の命を狙ったマライヒという元殺し屋の美少年を深く愛している。対象年齢は基本的に十代の美少年だが、美男子であれば子タマネギのような子供を性の奴隷にしたり、テレパシーで誘惑してきた美青年エスパーのミスター・フーを精神で犯したりもした。また、美少年というほどではなくとも十代の少年であればそれなりに妥協もするらしい。

マライヒという固有の相手ができた後も節操なく「浮気」を繰り返すため、マライヒの頼みでパタリロが矯正に乗り出すことが時々ある。しかし厄介なことに、矯正したら何らかの致命的な問題が必ず発生するようである(他の美少年だけでなくマライヒにも拒絶反応を示す等)。騒動好きのパタリロでさえも辟易することが多い。

能力

一見線が細く見えるが、あらゆる武器・格闘技のエキスパートであり実戦経験も豊富であり徒手格闘でも相当な腕前を持つ。

「眼力」と呼ばれる、視線で見た者を惹き付ける能力を持っている。当初は抽象的なものであったが、後に明らかな超能力という設定に固定された。特に10代後半から20代前半の男性に強く作用し、「美少年キラー」の名の由来となったものだが、意識して強めれば性別を問わず通用するようである。まったく効かないのはパタリロの一族のみ。激昂すれば眼力で火を付けることも可能である。パタリロ製(知能回路だけスカンキー製)少年形ロボットのαランダムにもタマネギ1号から3号の息子たち(美幼年)にも効力が発揮され、力を込めれば落とそうしている少年の側にいた老人にさえ作用したことが確認されている。

ちなみに、同性愛は彼の一族の男性が代々受け継ぐ性質であり、バンコラン家では、女性に比較的抵抗のない者が妻を娶り、子孫を絶やさぬようにしている。彼自身もパタリロの母親エトランジュには全く抵抗なく接触することができる(エトランジュに媚薬を盛られ、抱いたこともあるが、それまで女性を知らなかった)。また、彼の父親はバンコラン家では非常に珍しい、完全な異性愛者であった。


なお、原理は不明だが、眼力をシャットアウトするコンタクトレンズなるものが時々登場する。おそらくパタリロの発明品で、彼が部下などを使ってバンコランにいたずらを仕掛ける際に使用される。度の強い(いわゆる牛乳瓶の底のような)眼鏡でも眼力をシャットアウトできるので原理そのものは単純なものと考えられる。このことから、眼力は精神的なものではなく物理的な力をもった光学作用であることが推察できる。ちなみにパタリロは2回、バンコランの眼力を再現する発明をしている。

普段から毒薬を服用し、体を慣らしている(一服盛られた程度では致命的にはならない)。パタリロと付き合っているうちにネコ語を解するようになった。

格闘術に優れ、の扱いに長ける。愛用の銃はワルサーPPKシガーを切らさないヘビースモーカー偏食家。しかし食事のスピードは速く、本人曰く「エネルギー補給に時間をかける趣味はない」とのこと。食事はワインとステーキが基本でマライヒから「バランスが悪い」と愚痴をこぼされているが、肉食動物と同様に体内でビタミンを合成できる特異体質らしく、食事が原因で体を壊したことはない。徹夜しても一杯のウォッカを睡眠の代わりとすることができるらしい。喫煙者であり常に葉巻を手放さず、人がいなければ禁煙の場所でも遠慮なく喫煙し、悪びれることはない。しかし飲酒直後の車の運転はさすがに控えるようになったようである。

外伝でのバンコラン

パタリロ!の時代劇版

時代劇版での役どころは南町奉行邪鬼遊稚児丞万古蘭(じゃっくゆちごのじょうばんこらん)。他に邪鬼万古蘭ノ守式馬(じゃっくばんこらんのかみしきま)など。

『パタリロ源氏物語!』

光源氏

『パタリロ西遊記!』

盤古羅漢十六羅漢の1人)。

モデル

バンコランの名前のモデルは、ジョン・ディクスン・カーの小説に登場するアンリ・バンコランであることになっている。アンリの方の英字表示はBencolinだが、ジャック・バンコランはBancoranが公式表記となっている。

キャラクターの原型は、コミックス6巻収録の読切短編『ヴァンコラン』に登場、犯罪シンジケート壊滅のために名うての殺し屋と言う触れ込みで潜入捜査をする、同名の英連邦警察特別捜査官(警部)。顔立ちと性格はほぼ同じだが、相違点として髪が短い事、恋人(ポーラという女性)がいる事が挙げられる。

関連項目